■『じゃあつく』と『イイワル』――絶好調の両作に共通しているのは脚本の質

 11月最終週放送回の『ザ・ロイヤルファミリー』、『じゃあつく』、『『良いこと悪いこと(イイワル)』の世帯視聴率、個人視聴率とコア視聴率、そして12月5日時点のTVerお気に入り登録者数は、以下の通り(※同週が特番で放送休止の『イイワル』のみ視聴率は前週)。

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■『ザ・ロイヤルファミリー』第8話(11月30日)

世帯視聴率10.6%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)/個人視聴率6.5%/コア視聴率2.7%/TVerお気に入り登録者数98.8万人(秋ドラマ4位)

■『じゃあつく』第8話(11月25日)

世帯7.9%/個人4.7%/コア3.3%/174.5万人(秋ドラマ1位)

■『イイワル』第7話(11月22日)

世帯5.9%/個人3.8%/コア2.7%/125.2万人(秋ドラマ2位)

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 なぜ、『じゃあつく』と『イイワル』は“ナンバーワンドラマ枠”日曜劇場の『ロイヤルファミリー』を圧倒できたのだろうか。

「まず『じゃあつく』は、“自炊の大変さ”、“男女に対する無自覚な偏見”が丁寧に描かれていて、視聴者からの共感度は“ナンバーワン”ですよね。

 全体的にコメディタッチで見やすいですし、竹内さんが主人公・勝男のダメ男ぶり、そこから脱却する姿を完璧に演じていて。当初は“俳優としての好感度は諦めたのか”という声が出るほどにイラッとさせる亭主関白ぶりでしたが、どんどん成長していって、今や竹内さんの代表作といえるレベルになるまでの“愛されキャラ”へと成長しましたよね」(前出の制作会社関係者)

 主人公の成長だけでなく、『じゃあつく』では “時代錯誤な亭主関白の父親であっても、家族の生活を最優先に生きてきたのは事実”、“結婚の意思がなくても、交際自体は真剣な場合もある”など、普通の作品では否定されがちな価値観に一石を投じる展開も多く、

《今は育メン流行ってるけど、稼いで家族を金銭面で支えるってのもお父さんの大切な役割なんだよね。特にアラサーミドサーの父親はその気持ちが大きかったと思う。(略)色々あるけど、父親の責任感も相当だったと思うよ…》
《結婚したくないってだけで、本気じゃないみたいに言われるのもしんどいよね。やっぱすごいこのドラマ。いろんな固定概念を覆してくれる》
《時代に合わないハラ系男のコメディかと思っていたが…凝り固まった価値観を壊し、成長する男のヒューマンドラマだった。手料理に文句はわかりやすくダメだが、それ以降は勝男と一緒に私たちも毎週気が付かされている》

 といった、“考えさせられる”という声が毎回多く寄せられている。

「そして『イイワル』は、“考察ドラマ”としての質が非常に高く、それによってTVerの数字が伸び、SNSでも話題になってリアルタイムの視聴者が増えたというところですよね」(前同)

『イイワル』は、第7話(11月22日)のAVOD(広告付き動画配信)再生回数(8日間再生)が340万回を記録し、日本テレビのレギュラードラマ歴代1位を更新している。

「『イイワル』は、とにかく考察を盛り上げるためのヒントの出し方が上手い。登場人物は公式サイトの相関図にいるキャラだけでも20人以上いますが、全員怪しく思えてくるんです。直接登場しない場面でも、各キャラの匂わせのような映像が挟まれることも多く、演出、シナリオは絶妙です。ずっとモヤモヤを残したままシナリオが進んでいくことも、考察ドラマとして沸騰した理由だと考えられますね」(同)

 そんな『イイワル』には、

《我が家でも普段テレビほとんど観ない学生の娘がハマってる 怖い怖い言いながら考察楽しい》
《オリジナル考察ドラマは貴重!面白い!そういう意味では日テレに感謝》
《画面見るのに一生懸命だから実況とかではあまり貢献できてないけどキャスト・スタッフ・脚本・歌と三拍子も四拍子も揃ってる作品だからいつの間にか多数の視聴者を得てる。内容的に決して楽しいとか言う訳ではないけど興味深すぎてのめり込んでしまうタイプの作品》

 といった、同ドラマの考察に虜になっている声が多数寄せられている。

『じゃあつく』と『イイワル』が2025年の秋ドラマの“主役”と言えるのかも――。