■笠松将のクズっぷりも完璧

 しかし、それらを吹き飛ばすほど波瑠、川栄、池村の演技が素晴らしく、X上では、《いろはちゃんが嘘ついてパパのところに行くって言った後、茉海恵さんに本当のこと言うシーン、なんか気づいたら涙出てた》《いろはの嘘を見抜く茉海恵本当の親子みたいだった。最後の泣きの演技も素晴らしい》などと、川栄と池村に多くの称賛の声が。

 また、《薫が全て背負ったあのシーンは鳥肌がたった。とくに学校の門を出るシーン、茉海恵といろはちゃんと目があい、真正面を向いた瞬間のあの覚悟と、私は犯罪者だから声をかけるな!とでも言ってるような気迫に胸が締め付けられた》など、薫(波瑠)が茉海恵(川栄)といろは(池村)を守るために自首することを決意するが、その波瑠の演技への反響も大きかった。

 特に、池村はほかの子役と差がつきすぎていて、一緒に演じているのがかわいそうなぐらい。また、敵役かと思わせておいて、薫に対して人情味あふれる優しさを見せた、保護者組織の三羽烏のひとり、野呂佳代(42)の頼もしさは予想以上。笠松将も悪役がハマりすぎて、《どうにかヤツを潰してほしい》などと“本橋憎し”の声が多いほどだ。

 配信サービス・TVerのお気に入り登録数は94.1万(9日午後1時現在)で、テレビ朝日系ドラマで鉄板の人気を誇る、天海祐希(58)主演の『緊急取調室』を第9話の放送後に超えた。これも脚本の穴さえも忘れさせる、演者パワーのおかげだろう。各主要キャラを演じる俳優陣の次作が楽しみだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。