■ITジャーナリストは注意喚起

 今回のケースについて、ITジャーナリストの三上洋氏はこう解説してくれた。

「失礼な言い方になりますが、今回の件はお笑いに詳しくない人からすれば、“偶然横に座った知らない人が、印象や外見について幅広く誰でも見られる場所で公にした”という話ですよね。この行為自体が問題なんです」(三上氏、以下同)

 と問題のある行為だと明言。投稿内容には詳細な個人情報や外見の情報が書かれていないようにも思えるが、

「相手の印象や外見に言及している時点で、その人のプライバシーにあたるようなことを発信していることになります。そして、場合によっては特定できる部分も勝手に書いてしまっていますよね。

 そして、それが本人のあずかり知らないところで起きているのも問題です。たとえば“横に座って、話をした”というのを書いてもいいか相手に許可取りしていたなら書いてもいいでしょう。だけど、それをしていないから人探しみたくなっているわけで。許可取りせずに相手の印象や外見を勝手に書いている時点で問題なんです」

 と、情報量が少ないから問題にならないわけではないとした。

 さらに、三上氏はこう続ける。

「もしかしたら、だいじゅさんが探している女性は、愛想笑いをして彼に接していたのかもしれませんよね。“横に異性がいる”という時点で女性は警戒するものですから、わざとにこやかに接していた可能性も否定はできないかと。実際どうなのかはわかりませんが……この際の状況を、当事者の女性があずかり知らないところで書かれるというのは、やはり問題になります」

 そして三上氏は、今回のようなSNSを利用しての“人探し”がこれまで何度も物議を醸してきたことに言及し、その危険性を訴える。

「よくXでは、“こんな人を探してます”“夫が失踪しています”“犯人を捜してます”などの文言で人探しが行なわれていますが、これらの情報が本当か分かりませんよね? 悪意のある人が、別の目的で探している場合もあるし、それこそストーカーが、ターゲット探しのために行なっているのも否定できません。SNSには、そういうリスクが常につきまとっているんです。

 やはり、今回のように偶然出会った相手のことを、“公共の場”で書くべきではないんです」

 SNSの普及により、気軽に他人の情報も拡散できるようになってしまった現代。それだけに、投稿には細心の注意が必要だ。

三上洋
東京都世田谷区出身、1965年生まれ。都立戸山高校、東洋大学社会学部卒業。テレビ番組制作会社を経て、1995年からフリーライター・ITジャーナリストとして活動。文教大学情報学部非常勤講師。
専門ジャンルは、セキュリティ、ネット事件、スマートフォン、Ustreamなどのネット動画、携帯料金・クレジットカードポイント。