日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは今年は日本人初の女性首相である高市早苗首相が大賞を受賞した年末の風物詩「流行語大賞」の裏側だ。

 年末の話題として知られる「現代用語の基礎知識選 『2025 T&D保険グループ 新語・流行語大賞』」。今年の年間大賞には、日本で初めて女性の内閣総理大臣となった高市早苗首相の言葉「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が選ばれました。10月21日に首相に就任したばかりの高市氏。大賞を受賞した強烈なフレーズは、多くの人の印象に残ったようです。高市首相は青いジャケットで授賞式に登場し、「年間大賞を賜りまして、誠にありがとうございます」とあいさつ。「なぜ5回も働いてを繰り返したのか」という質問には「その場の雰囲気です」と笑顔。会場の空気を和ませる場面もありました。

 そもそも、この「流行語大賞」はどのように決められているのでしょうか。

「公的な制度と誤解されがちですが、実際は出版社・自由国民社によるPRイベントという位置づけです。毎年刊行される『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の宣伝企画として1984年に始まり、最も成功したPRイベントのひとつと言われます。まず事務局が30語程度を選定し、その後、作家・タレント・文化人らの審査員がトップテンと年間大賞を決める流れです。ただし基準が完全に公開されているわけではないため、“どうしてこの言葉が?”という戸惑いの声がSNSで飛び交うこともしばしばです」(出版関係者)

 一方で、認知度が低い言葉が突然ノミネートされることもあります。過去には専門用語のような言葉が選ばれ、「担当者の遊び心」で決まったと言われるワードも。また、社会的に爆発的に流行した言葉だけでなく、政策や世相を象徴するワードが選ばれることもあり、必ずしも“流行った言葉ランキング”ではないところが特徴。ここ数年は大賞がスポーツに偏っていたことで賛否が巻き起こっていました。