■お歳暮を“百貨店への初めの一歩”にしたい

 さらに、新宿高島屋では、贈り物を自分で試せる「お歳暮カフェ」が登場。昭和ナポリタンや厚めのホットケーキなど、店頭で約2000点、オンラインストアで約4000点もの豊富な贈りものラインナップが並びます。利用者からも「贈り物は自分が納得してから選びたい」といった声が聞かれ、若い世代を中心に関心が高まっている様子がうかがえます。百貨店側としても“百貨店への初めの一歩”を踏み出してもらう狙いがあり、定着すれば新規顧客の開拓にも繋がりそうです。

「お歳暮離れは年々進んでいますが、それでも“年末に誰かを思う気持ち”そのものが消えたわけではありません。バレンタインでも自分用に買う人が増えていますし、自分が納得したものを贈って、そのあと贈った相手と会ったときに商品の味など共通の話題が生まれるのも“自分へのお歳暮”が流行している理由でしょう」(生活情報サイト編集者)

 こうした“自分へのお歳暮”という新たな価値観をいかに掘り起こし、心に響く提案へとつなげていけるか――それこそが、変わりゆく時代の中で百貨店が次の年末商戦を切り開く鍵となりそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。