■止まらない鳥嶋氏の“ダメ出し”「ファンに甘えた詐欺に近い」
さらに鳥嶋氏は、“かめはめ波”を放っている孫悟空のイラストに対して「デッサンがくるってる」と指摘。椅子の上に立ち上がって自ら“かめはめ波”を放つ際のアクションを披露し、悟空の正しいポージングについて説明するという熱の入った場面もあった。
鳥嶋氏は、自身が現場編集者として鳥山氏を担当していた頃は、アニメ版権の粗悪なグッズが世に出ないよう、アニメグッズ制作を担当する東映アニメーションを自ら監修していたと当時を振り返る。そのうえで現在監修を担当している「カプセルコーポレーション・トーキョー」に言及し、「はっきり言えば、カプセルコーポレーション・トーキョー伊能プロデューサーがまったくセンスがないから、こういうダサいのが出てくるんだよね」と厳しく批判した。
そのうえで鳥嶋氏は、「集英社がカプセルコーポレーションとちゃんとコミュニケーションをとって仕事ができていないか、カプセルコーポレーションがあんまりにもうるさいから集英社が何もしていないか、どっちかだね」と裏事情を推測していた。
カプセルコーポレーション・トーキョーとは、集英社の元社員で同社の「ドラゴンボール室」の初代室長を務めた伊能昭夫氏が設立した会社。『ドラゴンボール』のゲームや映像関係の業務を担当している。
鳥嶋氏のダメ出しは、「一晩で仕上げました、みたいなお店だよね」「商品もちゃんと考えられていないし、ディスプレイもちゃんとしていない」などと止まらない。「ドラゴンボールのファンが行ってワクワクするような(店の)設計、コンセプトがあるべき。それが(『DRAGON BALL STORE TOKYO』には)いっさいないわけ」と、イラストだけでなく、グッズのクオリティーやストアのコンセプトについても厳しい見解を示した。
また、「本当にドラゴンボールが好きで(絵が)上手いやつに描かせないで、“あ、手が空いているな、お前”ってやらせた感じ。ってことは、東映アニメもCCT(カプセルコーポレーション・トーキョー)もナメているよね、原作を」と強い怒りをにじませていた。
実際にストアに足を運んだファンに対して鳥嶋氏は、「申し訳ないけど」と前置きをしたうえで「カモにされてるよ」「並べときゃいいだろっていう商品ばっかりだ」とコメント。最終的に東映アニメに対し、「ちゃんとしたグッズ、ちゃんとしたお店を作れよ。君たちがやってることは、ある種のファンに甘えた詐欺に近いよ」と辛辣なメッセージを寄せた。
伝説の担当編集者から、厳しく批判された『DRAGON BALL STORE TOKYO』。運営する東映アニメーションは、どのように捉えているのか──。同社に監修方法や鳥嶋氏の意見について質問を投げかけたが、期日までに回答はなかった。
「『ドラゴンボール』のようなアニメ化がされている人気漫画作品の場合、原作漫画の版権とアニメーション版権が別で、グッズ制作の流れやチェック体制もそれぞれになる。そのため、クオリティーに差が出やすくなることがあるのは事実です。原作者である鳥山さんは昨年亡くなっているので、ご本人の監修も受けられない。世界的にパワーを持つ『ドラゴンボール』のブランド力を保つなら、この複雑な構造を改善する必要はあるでしょうね」(前出の漫画誌編集者)
圧倒的なファン数を誇るだけに厳しい声も湧き上がる『DRAGON BALL STORE TOKYO』。今後、公式ストアとして、多くのファンをワクワクさせられるだろうか――。