2025年6月6日の公開以来、ロングヒットを続け、11月25日には興行収入が173.7億を突破し、実写邦画で歴代1位を記録した映画『国宝』。
2度観た、3度観たという観客が出てくる一方で、こんな声も。
「主演の吉沢亮くんも横浜流星くんも、かわいくて大好きなんだけど、上映時間は3時間もあるんでしょ? トイレに行きたくなっちゃうんじゃないかと思うと心配で、まだ観に行けてないのよ」(神奈川県在住の60代女性)
174分の上映時間がネックになり、高齢層の中には鑑賞を尻込みしている向きがあるというのだ。
年をとれば、耳が遠くなる一方でトイレが近くなるのは自然の摂理。『所沢いそのクリニック』の磯野誠理事長に、加齢に伴い変化する排尿のメカニズムについて聞いた。
「膀胱機能の変化と、尿量の調節機能の低下が主な原因です。年齢とともに膀胱の柔軟性が失われ、硬くなります。その結果、尿を溜められる容量が減少し、すぐに尿意を感じるようになるのです」(磯野氏)
かくいう本サイト記者(57歳・男性)も、最近、どうも下半身の水道管がユルくなってきたようで、夜中にトイレに起きることが増えてきた。
ゆくゆくは、長丁場の映画やコンサートで、お漏らししてしまうかもしれない。
前出の磯野氏も、
「無理なガマンは、膀胱炎や尿閉のリスクを高めるのみならず、膀胱の筋肉がダメージを受け、将来的に排尿障害につながる恐れがあります」
と警告してくれたので、今回は、大人用のオムツを着用して、『国宝』を観に行くことにした。いつかはオムツを履くことになるかもしれないのだから、今から予行演習しておいても無駄にはなるまい。
記者がまず訪れたのは、近所のドラッグストア。
シャンプーやメイク道具の棚をすり抜け、奥の「介護コーナー」に向かうと、そこにはさまざまな大人用オムツが置いてあった。
とはいえ、使用者のささやかなプライドを守るためか、パッケージのどこにも「オムツ」という単語は書かれておらず、「うす型軽快パンツ」「超うすパンツ」などの文字が踊っている。
近くにいた店員に声をかけ、話を聞いた。
「オシッコがちょっとだけ漏れてしまう人は、下着に貼り付けて使用する『尿もれパッド』があります。数滴漏れる程度ならシートタイプ、下着やズボンにしみるというかたは、パッドタイプがいいと思います」
吸水量は前者だと3~10CC、後者なら10~250CCとなる。いずれも抗菌・消臭効果があるようだ。
一方で、パンツ型のオムツもあった。「Lサイズ」の商品を手に取って見ていると、
「そちらは『おしっこ2回分』まで対応しています。1回分が150CCなので、300CCまで吸収してくれますね」(前同)
そのサイズが売れ筋のようで、それより大容量の商品は取り寄せになるという。
ということで、大人用Lサイズのオムツ20枚入りを購入。ホントは2~3枚入りので十分だったのだが、いちばん少ないのでも20枚入りしか置いていなかったのだ。金額は2075円だ。
そして、12月初旬のある日、都内ターミナル駅のシネコンで『国宝』を鑑賞すべく、ネットでチケットを予約。
事故が起きてもなるべく観客が少なそうな遅い時間帯の、後ろのほうの席を取った。