■愛されキャラ・トキを作り上げた高石あかり
X上では、《トキは銀二郎さんとのことがあって、「I love you」の魔法を信じられない人になっていると思うけど、ヘブン先生とトキの「似た部分と似ていない部分」がどう化学反応を起こすのか、視聴者からは見えそうで見えなくてとても楽しみ》《ヘブンさんの過去の余韻!リヨさんの潔い別れ!そして、トキちゃんの胸に芽生えた新しい感情!!》などと、トキの恋心に注目が集まっている。
また、《おトキはわりと立ち入らない、盗み聞きしないを徹底してる。待つのが上手な子。それは自分が「事情のある子」だったから》などと、トキ(高石)に寄り添うような声が多く、どれだけ視聴者に愛されているかが分かる。ツラい状況だからこそ応援の気持ちが強くなるのだろう。いつもの朝ドラヒロイン以上に、思い入れが強く感じられる。
誠実でけなげなトキだが、ときにそれが過剰になったり、本音がポロッと出てしまったり、脚本のふじきみつ彦氏と高石が作り上げた型にハマらないキャラ造形が、自然体で良いのだろう。
第54話のトキが湯たんぽを石で破壊しようするエピソードも、朝ドラヒロインとしてはかなり型破りだが、それがトキの魅力なのだ。それを輝かせているのは、細かな感情をセリフのみならず全身で伝えることができる、高石の高い演技力であることは言うまでもない。
ヒロインのキャラが愛されているからこそ、どんなにツラい展開でも視聴者の支持は落ちない。次週は、ようやくトキがヘブンに怪談を語って聞かせることになる。小泉八雲の『怪談』も、収録作品の多くはセツの語りから生まれたそうなので、物語のキモとなるトピックになりそうだ。今後の展開に期待がふくらむ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。