■1年半かけての歌舞伎稽古、プロボクサーのライセンス――横浜流星の役作り
横浜は映画『国宝』で梨園の御曹司・大垣俊介を演じるにあたり、2023年3月から約1年半かけて歌舞伎の稽古を重ねたことを明かしている。他の仕事の合間を縫って休むことなく日々稽古に励み、自宅での自主練習も欠かさず、歌舞伎の家に生まれた役者に見えるよう、全身全霊で取り組んだという。
それは主演の吉沢にとっても良い刺激となったようで、11月15日に行なわれたTAMA映画賞授賞式では「心が折れる瞬間があった。つま先から髪1本の先まで歌舞伎役者になるというストイックな彼が奮い立たせてくれた」と、横浜がいたからこそ、自分も頑張れたことを明かしている。
「『国宝』以前から、横浜さんは役を演じるにあたり肉体改造をしたり、役に合わせできないことを克服したり、果ては資格まで取得したり。とにかく妥協しない俳優として評価されてきましたよね」(前出の女性誌編集者)
横浜の役作り――たとえば、主演映画『きみの瞳が問いかけている』(20年)では、キックボクサー役を務めるにあたり、体重を10キロ増量したことがある。
また、横浜は水が苦手で泳げなかったが、阿部寛(61)主演のTBS系日曜劇場『DCU』(22年1月期)に“潜水特殊捜査隊”の一員として出演するにあたり、撮影に先立ってスキューバダイビングのライセンスを取得。さらに、ボクシング映画『春に散る』(23年)で主人公を演じるにあたり徹底的な肉体改造をしただけでなく、日本ボクシングコミッションのC級、つまりプロボクサー試験を受け、合格している。
そのほかにも、水墨画の世界を題材にした映画『線は、僕を描く』(22年)で水墨画に魅了された主人公を演じた際には、水墨画家の小林東雲氏のもとで1年以上の時間をかけて水墨画を学んだ。同作はコロナ禍で撮影が大幅延期となったが、横浜は別の作品で仕事中の時期でも、少しでも時間が空くと「練習がしたいです」と申し出ていたという。
「横浜さんは小学生の頃から極真空手を習っていて、その経験も今日までのストイックな姿勢に繋がっているといいますね。今回の贈賞式では2026年の抱負を聞かれ“映画人の1人として日本映画を発展させられるように責任を持って一つひとつ丁寧に取り組んでいけたら”と話していました。今後も徹底した役作りをし、多くの名作を生み出してくれるのではないでしょうか」(前同)
横浜は来年9月で30歳。贈賞式では20代最後の年を大河ドラマに捧げたこともあり、「自分の中で役者として第一章が完結した感覚。また来年から新たな道で地に足着けて突き進んで行けたらと思っております」とコメントしている。
ストイックに、作品にすべてを捧げられる俳優・横浜流星。今後も、彼が出演する素晴らしい映像作品が生まれていくのは間違いないだろう。