■SixTONES楽曲の発車メロディが中止になった例も

 JR東日本広報担当者によれば、注意喚起の取り組みをすることになった背景には、前述のとおりの“危険行為”があるという。

「昨今、発車メロディの録音や駅ホームでの撮影に伴い、危険な行為をされるお客さまが散見されており、過去の感電事象などと同様の事故を未然に防ぐため、早急に注意喚起を行う必要があると判断しました」(以下同)

 特に「今年度に入りホーム上での危険な行為をされるお客さまが散見された」と、危険行為の目撃数が増えた実感を語る。実際にあった危険な事例としては、「過去、録音のために長さ4mほどのマイクを使用していたことで感電されそうになった事象がございました」といい、事故防止の観点からもより厳しい啓発の必要性を感じたとのこと。

 録音が問題になった例として、記憶に新しいのは今年10月1日、東北新幹線と人気アイドルグループ「SixTONES」のコラボキャンペーン「Enjoy! SixTONES, Enjoy! ShinKANSEN」での出来事だ。キャンペーンの一環として、東京駅・上野駅・大宮駅の新幹線ホームの発車メロディに、タイアップ楽曲『Shine with U』が採用された。

 当初は2026年3月31日まで使用される予定だったが、発車メロディが流れ始めてわずか10日後の10月10日、東京駅と上野駅で使用中止、大宮駅においても順次使用が中止されることが発表された。この理由についてもアイドルファンによる“録り鉄”が原因だったという。

「ホーム上で『柄の長い集音マイク』を使用して録音を試みる方が目立つようになり、安全面での懸念が生じました」

 新幹線の運行には高圧電流が使用されているため、架線に触れなくても近づくだけで感電する恐れがあるほか、周囲の客への迷惑につながる可能性もあるとした。

 また、注意喚起のポスターには日本語の文言の下に英語版も載せられているが、

「海外のお客さまにつきましても、危険な撮影等が散見されるため、お客さまの安全を守る観点から、危険な録音・撮影行為を防止する目的で英訳も記載させていただいております」

 この注意喚起により、迷惑行為が減ることを祈るばかりだ。