■普通では終わらないはずの『良いこと悪いこと』

 考察の通り、紫音(大後)が通っていたタクト学園つながりで、今國(戸塚純貴/33)、東雲(深川麻衣/34)が、過去のいじめに苦しんで自殺した紫音の復讐に乗り出したと見るのが普通だろう。ただ、元委員長の小林(藤間爽子/31)や森(古舘)など、ミスリードでさんざん視聴者を振り回してきたこのドラマにしては、素直すぎる。共犯者はまだまだいるのでは――?

 考察に何度も名前が挙がっている、高木(間宮)の妻・加奈(徳永えり/37)が事件に関わっているように思える。まず、ピアノ教室の見学になぜ父親が行ったのかが疑問だ。加奈に知らせず高木が紫苑のところに行ってしまい、そこから悲劇が始まったのかもしれない。

 そして、加奈もタクト学園の出身、もしくは紫音と何かしらの関係があって、今國、東雲と共に協力していたら……。視聴者から「どうも引っかかる」などと指摘が多かった、高木からイジメの話を聞いても、たいして驚かなかったところや、常に高木に対してよそよそしい態度だったのも、これなら納得できる。

 今回、宇都見(木村)が参加した紫音の追悼コンサート会場に、高木がカッターナイフを持参したことで、彼が「悪い子」から変わっていなかったことが示唆された。公式サイトで鈴木プロデューサーが、「ちゃんと大人になれてるのだろうか?」と自問するコメントをしており、「変わること」が本作のテーマのようだ。

 また、加奈は過去に「この人とだったら、良い親になれるかな」と思って高木と結婚したと発言している。ひょっとすると、加奈は高木を変えようとしていたのだろうか。しかし、高木は変わらないため、よそよそしい態度になった。そして、紫苑の自殺をきっかけに、すべてが動き出したということかもしれない。

 視聴者を混乱させ続けてきた本作。最後も予想の斜め上を行く真相が明かされるはずだ。最終回予告はサブタイトルが「真犯人、だーれだ?」で、園子(新木)らしき人物が「自分がなに言ってるか分かってるの? そのせいで何人が死んだと思ってるの?」と、誰かに怒って語りかけている。はたして真相は――?(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。