日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。Z世代で広まる新しいダジャレとは?

「やばたにえん」「了解道中膝栗毛」「うれシーサー」――。どこかで聞いたような、でもどこか新しい言葉たち。

 SNSやチャットでのやり取りが主流になった今、若者たちは「伝える」だけでなく、「楽しませる」言葉を求めています。そんな中で登場したのが、時代に合わせて進化した“ネオダジャレ”。かつて“オジサンの寒いギャグ”とされてきたダジャレが、若者の間で再評価されているのです。

 Z世代に人気のネオダジャレには「ヤバ杉謙信」(“ヤバい”+上杉謙信)、「あざ丸水産」(“ありがとう”+居酒屋風ネーミング)、「予想外森鴎外」(意外性と文豪ネタをかけた言葉)、「ナスのヴィーナス」(語感の面白さとビジュアルの想像で笑いを誘う)などがありますが、これらの言葉にはちょっとした知性や文化的センスが感じられ、単なるダジャレではなく、“気の利いたフレーズ”として使われているのがポイントです。

 博報堂生活総合研究所の調査では「3カ月以内にダジャレを聞いた・使った」と回答した人は20代が最も多く、60代は最も少ないという結果が出ています。かつて“おやじギャグ”と距離を置いていた若者世代が、今ではむしろダジャレを日常に取り入れている。逆に、ダジャレに親しんできた世代が「もう古いもの」として敬遠している――まさに価値観の逆転現象です。