日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、ネット広告のカラクリを深掘りした。
「売上No.1」「満足度第1位」「人気ランキング1位」――。街中でもネット広告でも、気がつけば“ナンバーワン”があふれています。まるでどの商品も一番に見えてしまう不思議さ。しかし、その多くは最初から1位を取らせるために作られた“カラクリ”によって成り立っている場合があります。
たとえば、まだ使ったことのない人に「この商品のイメージはどうですか?」とだけ尋ね、想像だけで評価させる調査があります。実際の使用感ではなく、ただの印象。それでも「女性に人気1位」「子どもにやさしい1位」などの表示が作られてしまいます。これは実態のない“イメージの1位”と言え、さらに調査を依頼した商品が1位にならなければ、調査会社が上位の競合を比較対象から外したり、1位になるまで条件を変えたりするケースもあるとされます。
途中で依頼主の商品が1位になった時点で調査を終了し、その数字だけを“1位の証拠”にしてしまう手法もあり、ランキングがとても恣意的に作られていることがうかがえます。
こうした背景もあり、ネット上でも、「小さい字の注釈を見るまで安心できない」「ランキング上位と書かれてると、なんだか良さそうに感じちゃうっていうのはある」「結局、自分で使ってみないと本当のところは分からないよね」「『自社調べ』という文言にも気を付けたほうが良い」「数字は嘘をつかないが嘘つきは数字を使う」「化粧品とか買い物してると、何でこんなにNo.1ばっかりあるんだろう? とは思ってた」「唐揚げの金賞もあやしい」などさまざまな声が…。
こうした反応からも“1位”という言葉が与えるインパクトが大きい一方で、疑いの目も確実に増えていることがわかります。