■5強崩しの筆頭は創価大学!

 5強の牙城を打ち破り、大番狂わせを演じて上位へと進出するのは、どの大学か。1984年のロス五輪と、88年のソウル五輪に2大会連続で出場した元マラソン日本代表の瀬古利彦氏が語る。

「帝京大学は全国的に有名な選手こそいないものの、中野孝行監督が上手にチームを組んでいます。出雲駅伝では8位、全日本大学駅伝で6位と果敢に“5強崩し”に挑んでいる。箱根でも上位に食い込んでくるのでは」

 ダークホースとして台風の目になりそうなのは前回7位の創価大学だ。出雲駅伝では青学・駒澤・中央の3校を抑え、3位と躍進。5強崩しにも成功した。

「6年連続シード権と箱根では確実に結果を残してきた。1年生時に2区を走った、留学生のスティーブン・ムチーニさん(3年)をはじめ、活躍が期待できる選手がたくさんいます」(前出の増田氏)

 前回11位の順天堂大学と9秒差で9位の座を死守したのは、出場校中で最長となる20年連続でシード権を獲得してきた古豪・東洋大学だ。12年ぶりの頂点を目指す、酒井俊幸監督が語る。

東洋大学の酒井俊幸監督 ※撮影/編集部

「箱根はシューズの改良もあり、年々、レベルが上がっています。シード権を死守するには10時間55分を切る必要がありますが、これは10年前の優勝タイムに匹敵する数字です」

 レースの高速化を前に、選手が背負う重圧も高まっているという。

「前回、アンカーを走った薄根大河(3年)が、“自分が生きてきたよりも長い東洋大学駅伝部の歴史を台なしにするわけにはいかないから怖かった”と、レース後に漏らしていましたが、私も、その通りだなと。今年もシード権最長の伝統に裏付けされた走りを、見せたいと思っています」

 前回大会で2区を走り、区間最下位となる20位に沈んだ緒方澪那斗選手(4年)がリベンジを誓う。

「今まで駅伝やってきて、タスキをもらってから抜かれたことがなかったので。初めて、順位を落とすっていう走りをしてしまったので、一番挫折というものを味わった駅伝でもありました。1か月ぐらいは悩む期間もありました。4年間でまだ1回も区間賞を取っていないので、区間賞を目標にリベンジをしたいです」

 さて、箱根駅伝の見どころは大学間同士の順位争いだけに限らない。毎年、ごぼう抜きを見せ、沿道を沸かせる留学生ランナーたちの走りにも注目だ。

「城西大学のヴィクター・キムタイ選手(4年)や、東京国際大学のリチャード・エティーリ選手(3年)は速いですね。青学の黒田朝日選手(4年)や駒澤の佐藤圭汰選手(4年)と競り合ってほしいですね。世界で戦うには、相手との駆け引きやペースチェンジが欠かせない。箱根から世界を目指してもらいたい」(前出の瀬古氏)

 意地とプライドがぶつかり合う箱根駅伝。勝利の栄冠を掴むのは、どの大学か。

【前編】青学・原晋監督も激白!開催目前「第102回箱根駅伝」見どころガイド 瀬古利彦&増田明美がレース解説 では、3連覇を目指す青山学院大学の原晋監督が最大のライバルと見る大学への印象やエースの黒田朝日選手(4年)が箱根駅伝の2区にかける思いなどを報じている。