12月後半を迎え、次々と2025年秋ドラマは最終回を迎えている。今期も多くの話題作が放送されたが、主演・ヒロインとして輝きを放った女優とは――。

【以下、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)、『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)、『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)のネタバレを含みます】

「まず、1人目は夏帆さん(34)ですよね。25年秋ドラマでナンバーワンの人気作はTBS系火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』でしたが、夏帆さんは同作で竹内涼真さん(32)とダブル主演を務めました。竹内さん演じる勝男との“相乗効果”もあり、大好評でしたよね」(テレビ誌編集者)

『じゃあつく』は、谷口菜津子氏の同名ヒット漫画(ぶんか社)が原作。恋人ファーストな彼女を演じてきたゆえに次第に自分を見失ってしまった山岸鮎美(夏帆)と、令和の時代には少し珍しい亭主関白思考な海老原勝男(竹内)が、“料理を作る”というきっかけを通じて、当たり前と思っていたものを見つめ直し成長していく再生ロマンスコメディ。

 同作は放送前はそれほど注目されていなかったが、男女ともに共感を呼ぶシナリオや演出の面白さなど多くの点で大バズリ。高視聴率を記録したほか、TVerのお気に入り登録者数も、秋ドラマ1位の158万.1万(12月19日時点、以下同)。一部では、27年の新春SPが決定したとも報じられている。

「夏帆さんは、破局を機に生き方を見つめ直す女性・鮎美を完璧に演じていました。髪をピンク色に染めるなど、早々に吹っ切れたように見せかけて、実は内面は全然変われていなくて――という中盤の展開や、その上で鮎美が本当にやりたいことを見つけていくまでを熱演。

 竹内さん演じた勝男のキャラの濃さに隠れがちなところがありましたが、夏帆さんが彼の芝居をしっかりと受け止められる女優だからこそ、『じゃあつく』は名作になったという意見がありますね」(前同)

『じゃあつく』の夏帆の演技には、

《竹内涼真にばかりフォーカス当たりがちだけど夏帆の誰の演技も邪魔しない安定感のある演技力があってこそなのよね ヒロイン役も夏帆じゃなきゃ絶対駄目だった》
《目の動揺その他諸々の感情の演技が流石に上手い!!普通の人はあんな感じで意識して動かせんぜ》
《竹内涼真さんの泣きの演技にやられ、夏帆さんの受けの芝居も素敵で。ずっと見てきたからこそ元サヤに戻ってほしい気持ちもあったけど、とてもリアルな結末だった》

 といった、絶賛する声が多く寄せられている。

「25年秋ドラマ女優では、テレビ朝日系火曜ドラマ『ちょっとだけエスパー』でヒロインを演じた宮崎あおいさん(40)も、あらためて絶大な存在感を示しましたね」(同)

 大泉洋(52)主演の『ちょっとだけエスパー』(夜9時~)は、会社をクビになったサラリーマン・文太(大泉)が謎の会社「ノナマーレ」に再就職し、そこの社長・兆(岡田将生/36)飲まされた薬によって“触れた相手の心の声が聞こえるエスパー”に覚醒。そんな彼が世界を救うかもしれない、完全オリジナルのSFラブロマンス。TVer登録者数は、秋ドラマ5位の84.2万人。

 同作は、映画『ラストマイル』(24年)や連続ドラマ『MIU404』(TBS系/20年7月期)など、社会派作品のイメージが強い人気脚本家・野木亜紀子氏(51)の最新作。宮崎にとって13年ぶりの民放連ドラ出演作であることから、期待の秋ドラマとして注目されていた。

 宮崎が演じたのは、物語の鍵を握る女性・四季。当初は“本物の夫を亡くしたショックから、面識のない文太を夫だと思い込んでいる女性”として描かれていたが、実は全く違う真相が――という役だった。

「『ちょっとだけエスパー』はSF要素が強い複雑な作品ですが、平たく言えば四季(宮崎)のために文太(大泉)や兆(岡田)が世界の運命を変えようとあがく物語。そのため、宮崎さんは常に物語の中心にいました。

 同作で兆は四季を愛するあまり、彼女を助けるために大勢の人間を死なせることもいとわなくなるなど、道を踏み外してしまいました。ですが、宮崎さんのビジュアルや演技は、兆が道を踏み外すのも無理はない、と思わせるほど魅力的なものだった。終盤に自分の運命を知り思い悩む場面、精神的に追い詰められてしまう場面など、見ているこちらが辛くなる、宮崎さんの泣ける演技は素晴らしかったですね」(同)