■みんなが主役だった『じゃあつく』
その姿勢は勝男以外も同じだった。たとえば、男尊女卑に凝り固まった勝男の両親もアップデートさせた。父・勝(菅原大吉/65)の亭主関白ぶりに長年耐えてきた母・陽子(池津祥子/56)が、勝男のマンションに家出してきたことをきっかけに男と女についての価値観が変化していき、少しずつではあるが変化していったのだ。
子世代と親世代との価値観の違いを、呪い的に描くドラマはこれまでも多くあったが、あくまでもメインは子の解放で、親は放置されがち。しかし本作は、親の価値観のアップデートまでしっかり描いており、その誠実な姿勢は徹底されていた。X上でも、《親世代の呪いを断ち切る話と、親の不器用な愛を受けた話を両輪で走らせてる》など、多くの称賛の声があった。
これこそ、本作が広く深く支持された理由だろう。勝男と鮎美だけでなく、家族、友人、同僚などの周辺人物たちも含め、登場人物全員が変わっていく、ある意味で“みんなが主役”だったと言える。ここまでヒットしたのは勝男というキャラを演じた竹内によるところが大きいが、それ以外のキャラの要素も重要だったのだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。