■契約前に立ち止まれ!
解約などでのトラブルを防ぐためには、利用者自身の備えも重要になります。申し込み前にスクリーンショットを保存しておけば、後のトラブルで証拠として役立つことがあります。また、「自動更新の有無」「最低利用期間」「解約方法」は契約前に必ず確認したいポイント。少しでも違和感を覚えたら、即決せずに一度立ち止まることが大切です。
「ダークパターンは、利用者の心理を巧みに突いて誤った選択へ導く点が問題です。特に初回割引のサブスクや美容・健康系の定期購入は被害が集中しやすく、若い世代だけでなく、デジタル操作に慣れない中高年層も巻き込まれやすい状況があります。“急がされていないか”“過度なお得感で判断を狂わされていないか”を意識するだけでも被害を防ぎやすくなります。事業者の誠実さが求められるのは当然ですが、利用者が知識を持つことで、ダークパターンは格段に通用しにくくなるはずです」(生活情報サイト編集者)
こうした手口を知っておくだけでも、自分の身を守る力はぐっと高まります。近江商人の「三方よし」――売り手よし、買い手よし、世間よし――という精神は、オンライン時代にも変わらず通用する考え方と言えるでしょう。事業者は誠実さを示し、利用者は慎重さを持つ。その両方がそろうことで、誰もが安心してサービスを利用できるデジタル社会が育っていくはずです。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。