年末年始といえば、年賀状を書き、大掃除をして、百貨店の初売りに並び、おせちや年越しそばを囲んで新年を迎える――そんな光景が当たり前だった時代がありました。しかし令和に入り、その「当たり前」は少しずつ姿を変えています。

「年末年始の過ごし方を見直し、“やめる”“減らす”“無理をしない”という選択をする人が目立ってきました。その背景にあるのが、長引く物価高と家計への不安です。慌ただしさや形式よりも、出費を抑えつつ自分に合った過ごし方を選ぶ空気が広がっているように思います」(ライフスタイル誌編集者)

 その象徴が年賀状です。発行枚数は年々減少し、2016年に32億枚発行されていたはがきは2025年には10.8億枚、そして2026年はさらに3割減少して7.4億枚にまで落ち込みました。SNSの普及だけでなく、郵便料金の値上げも影響しているとみられます。

「気持ちは伝えたいが、コストを考えると続けにくい」「LINEで十分」「そもそも住所を知らない」―こうした声が広がる中で、年賀状をやめる動きは、単なる節約だけを意味するものではありません。毎年決まった形でやり取りを続けるのではなく、普段から連絡を取り合える相手とはSNSやメッセージで気軽に近況を伝え、そうでない相手とは無理に続けない。

 負担にならない距離感を選び直すことで、人との関係をより現実的な形に整えていく動きとも受け取れそうです。形式よりも気持ちを重視する価値観へのシフトだと言えるでしょう。

 また年末の大掃除にも意識の変化が見られます。電気やインターネットなど生活インフラの料金比較を行うサイトを運営するセレクトラ・ジャパンが全国の既婚男女2000人を対象に行った調査では、今年の年末に「大掃除をしない予定」と答えた人が25%に上りました。

「大掃除をする予定」と答えた人は33%でしたが、かつてのように多くの家庭が一斉に行う行事ではなくなりつつあります。理由として多かったのは「特に「大掃除」という考え方はなく、自分のタイミングで掃除している」というもの。時間や体力、光熱費を考え、効率を重視する考え方が広がっているようです。

 買い物の風景も変わりました。かつて正月の風物詩だった百貨店の初売りは、元日休業が当たり前になりつつあります。人手不足や働き方改革への対応が理由ですが、利用者側も「混雑を避けたい」「事前に買えば十分」と受け止め方が変化。無理に出かけて衝動買いをするより、計画的にお金を使いたいという節約意識が背景にあります。