■史実では悲惨な最期を迎える三之丞
吉沢演じる錦織と板垣演じる三之丞の、史実での展開――まず、錦織のモデルは小泉八雲が最も信頼を寄せた人格者・西田千太郎だが、西田は明治30年(1897年)に結核を患い、34歳で短い生涯を終えたことで知られる。ちなみに、現在の『ばけばけ』は明治24年(1891年)が舞台。錦織の旅立ちが近づいているのかもしれない――。
「そして、より壮絶な末路を辿るとされるのが三之丞です。モデルはセツの2歳下の弟・藤三郎です。史実よりもだいぶ美化されて描かれていますが、それでもカバーできないほどに問題のあった人物とされ、1月7日放送回ではついに“悪事”が母・タエ(北川景子/39)にバレる――という展開が描かれましたね」(前出のテレビ誌編集者)
かつて、タエと三之丞は地元の名家・雨清水家の人間だったが、夫の死と時代の流れにより没落。タエが物乞いに身を落としてしまったこともあり、三之丞は当初こそ“就活”に励んだものの、育ってきた環境から「人に使われる仕事」に就けず、どこへ行っても“社長にしてほしい”と主張して相手を怒らせて乱暴に追い出される、ということを繰り返していた。
見かねたトキ(高石)は、ヘブンからもらっている給金から当時は大金の10円を渡したが、三之丞はタエに「実は私、社長になりました」「社長になるための支度金」とウソをついてしまう。
そして、1月7日放送回の内容から察するに、三之丞はその後もトキから毎月カネをもらい続けていたようだ。同回で三之丞がヘブンの家を訪ねたのは、トキがヘブンと結婚した結果、女中としての給金がもらえなくなり、“仕送り”が止まっていたからかもしれない。
同回は、トキの父・司之介(岡部たかし/53)がうっかり口を滑らせ、トキが三之丞に毎月カネを渡していたことがタエに知られてしまった――という場面で終了した。
これから先、『ばけばけ』で史実がどうアレンジされるかは分からないが、三之丞のモデルである藤三郎は、セツがハーンと結婚後に母・チエのために送った仕送りに依存したり、カネに困った末に家族に黙って先祖代々の墓石まで売り払ってしまうなど、まともに働こうとしない人物だったという記録が残っている。
また、1900年夏頃、八雲・セツの一家が東京に移住後、藤三郎が東京に現れて無期限でその家に置いてもらい、良い就職口を斡旋してもらおうと20日ほど滞在した、という記録も。
八雲の長男・一雄氏によるエッセイ『父小泉八雲』(小山書店)によると、そこで八雲に先祖の墓を売ったことを強く責められたといい、八雲に悪態をつく藤三郎にセツも堪忍袋の緒が切れて、「あんたは本家らしい事を一度でもして見せましたかッ? 先祖の墓石まで食べて、それで何が立派な本家の旦那ですッ!」と叱りつけたという。藤三郎はこの日、小泉家を飛び出したのを最後に、2度と夫婦の前に姿を見せなかったという。
それから16年後の1916年、藤三郎は、本籍を置いている住所の近くの空き家で、現代でいう“孤独死”している姿が発見されたということだ。
今回、三之丞が働いていないことがタエにバレる展開になったことで、
《三之丞さま......史実通り孤独死だけは避けてほしい...でも窓枠からぴょこんと覗きに来た三之丞さま #ばけばけ 史上いちばん可愛かったです》
《三之丞くんタエさんから叱責されるよな…銀二郎との再会以外は割と史実に沿ったドラマ作りしてるから三之丞くんモデルの最期に繋がっていくのではとちょっと怖いんだが》
《三之丞さま、そろそろ史実エピ来そうで震えてる ご都合主義と言われようとヘヴン先生に怒られて三之丞開眼→働き初めてハッピー展開にしてほしい》
《三之丞は史実だとほんとクズなので最期野垂れ死ぬところまできっちりやって欲しい》
などなど、今後を不安視する声は多い。
「『ばけばけ』はあくまでもフィクション。すでに、“セツは1人目の夫に強く拒絶され、自死を考えるほど傷付いた”という悲痛なエピソードを、“決して夫婦仲は悪くなく、復縁の可能性もあったが、トキがヘブンに惹かれている姿を見て前夫が身を引いた”という救いのある展開にアレンジされています。それだけに、三之丞もなるべく明るい結末を迎えて欲しいところですが……」(前同)
結婚というおめでたい出来事が描かれている裏側で、着実に三之丞の破滅が近づいている感もある『ばけばけ』。板垣演じる三之丞の未来は、果たして――。