■「襲われた」と思ったカラスに「救われていた」!?

――すべて考え方次第なんですね。あと、本の中にある印象的なエピソードとしましては、カラスの追いかけられた話がありました。

内間 ありましたね……。

 内間さんは小学生の頃に犬に噛まれその後、犬恐怖症に。それからは飼ったメジロやピラニアを死なせたりと、動物との相性がずっと悪かったという。しかし、ある日の深夜の帰り道、車で猫をひいてしまい、その日を境に考え方が変化したというのだ。
 ひいてしまった猫はまだ死んではおらず、内間さんはその猫を抱え、偶然、その場に居合わせたおじさんとともに動物病院に駆け込むと一命をとりとめることができた。少し回復した猫を元気になるまで自宅で預かろうとし、家の誰も住んでいない1階で寝かせたところ、不思議なことに翌日いなくなっていたという。そこは完全に密室だったにもかかわらず……。
 そこで思い出したのは、その1階にはかつて亡くなった祖母が住んでおり、その部屋の押し入れには野良猫が住み着いていたこと。そして祖母は、その猫を追い払わずに住まわせていて、その野良猫は、多くの子猫も生んだという。
 もしかしたら、ひいた猫はあのときの猫の子孫だったのかもしれない。僕に何かを伝えようと現われたのかも――そう感じたことで、内間さんはその後、動物とは会話はできないけれど、「同じ生物」だと思えるようになったという。

内間  それから数年後のある日、初めて訪れた田舎町で方向に迷い、駅への戻り方が分からなくなってしまったんです。携帯電話の電源も切れ、疲労困憊でとても困った状態になって。そんなとき、カラスに襲われたんですよね。

 そのときは、緑の派手なニット帽をかぶってたんですよね。それが狙われたという面もあるのかもですが……でも初めての体験だったので、殺されるかと思いましたね……。襲ってきたのは1羽でした。スピードが物凄く速かったです。最初は何が起こったのか分からなかったんですよ。結局、2、3回襲ってきたのかな。それでカラスだと分かって。本当に怖かったですよ。カラスの目は、キレてましたね。目は黒かったかな……黒目がキレてましたね。

――怖いですね! 黒い目が怒っていたんですね……。

内間  それで怖くて、走って全力で逃げたんですよ。じゃあ、ハッと気づいたら目の前が駅だったんです。“おお、ラッキー!”と。そしたらカラスもいなくなっているんです。

――それはすごい! 偶然なんですかね?

内間  やっぱりカラスは、道を教えてくれたのかもしれませんね。さっき目が怒っていたと言いましたが、本当は怒ってなかったのかもしれない。怒られたと思って俺は逃げたんですが……。

 もしかしたらそのカラスも、僕の上の世代の内間家の人が飼っていた動物の子孫かもしれませんね。ただ、さすがにカラスをペットにしていたことはないと思うので、他の動物がカラスに生まれ変わったりとか、他の動物がカラスに情報を提供したのかも……。

――他の動物がカラスに情報提供!?

内間  分からないですが。でも、「内間さんはなかなか良い人だから何かあったら助けてあげて」と言われたのかもしれないし……我々も動物なのでみんなつながっていますからね。

カラスの件でヒートアップする内間さん 撮影:白木淳也