■FA戦士をW獲得する本気度
他方、そんな“2強”の争いに割って入りたい昨季3位のオリックスは、森友哉(30)や西川龍馬(31)、山下舜平大(23)ら相次いだ故障者の完全復活を見越してなのか、補強は控えめ。
中軸候補のシーモア(27)に加え、つい先頃にはMLB最長身を誇った213センチのリリーバー、ジェリー(28)の獲得も発表された。
前出の藪氏はこんな指摘をする。
「監督交替の初年度で、ケガ人も多数出た中でも、それなりに結果が出た。そうなると上層部は“来季はもっとやれるでしょ”と、安易な発想に陥りやすい。
本来はそういうときほど、補強に力を入れるべき。矢野(燿大)監督時代の阪神だって、そのせいで優勝を逃し続けたようなものだしね」
そう考えると、昨季4位の楽天も、目立つ補強は前田健太(37)や伊藤光(36)らベテランのみで、投打の両外国人はいずれも未知数だ。
「守護神・則本昂大(35)の巨人への退団は痛手。野手の主力だった辰己涼介も国内で移籍先を模索しています」(前出のスポーツ紙記者)
ただ、伊原氏は楽天の戦力に一定の評価を与える。
「似たタイプばかりなのが玉に瑕だが、宗山塁(22)や中島大輔(24)、黒川史陽(24)ら、野手には生きのいい若手が実はそろっている。外野には能力の高い小郷裕哉(29)もいるし、仮に辰己が戻っても去年までのようにはいかないだろう。
ドラ1の藤原聡大(22/花園大)、2位の伊藤樹(22/早大)が、1年目からモノになるなら、投手陣も面白いと思うよ」
とはいえ、下位に沈んだ西武&ロッテも、このオフは例年以上に積極補強。
とりわけ西武は、桑原将志(32)&石井一成(31)のFA戦士W獲り。補強ポイントの外野にカナリオ(25)&林安可(28)も引き入れ、上位進出を念頭にして、かなりの本気度を見せている。
「日本より待遇が悪いからと“やっぱやめた”となるのはどうかと思うが、高橋光成(28)が残ったというのはチームにはプラス。
もともと粒ぞろいの投手陣に加え、オフの補強で野手も充実。ともすれば、源田壮亮(32)や外崎修汰(33)が控えに回る可能性も、あるんじゃないか」(前同)
残る最下位ロッテも「昭和のキャンプ」を掲げるサブロー新監督が、伸び盛りの若手をスパルタ指導。
昨秋引き当てた高校ナンバーワンのドラ1右腕・石垣元気(18/健大高崎)に加え、DeNAからジャクソン(29)も獲得。再建に向けて抜かりはない。
「積極的に動けるというのが最下位チームの大きな利点。大きな故障さえしなければ、石垣あたりは上でも十分使える。“昭和式”もいいが、オーバーワークで選手を潰さないようにだけはしてほしいね」(藪氏)
その補強策は吉と出るか、凶と出るか。球春到来が待ち遠しい。
【前編】藤川阪神補強大成功で1強5弱のセ界情勢を藪恵壹&伊原春樹が解説 主砲岡本流出の巨人より台風の目は中日 では昨季に続きリーグVを目指す藤川阪神の積極補強ぶりや主力が大幅に抜け戦力低下が避けられないDeNAの実情を報じる。
藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。
伊原春樹(いはら・はるき)
広島県甲奴郡上下町(現・府中市)生まれ。元プロ野球選手(内野手)・コーチ・監督、解説者・評論家。