日々、若者文化や社会問題を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が今、注目するのは訪日外国人の意外な動向だった。
かつて「オタクの聖地」として世界にその名を轟かせた秋葉原の街が、今、大きな曲がり角に立っています。駅を降り立った瞬間に感じられたあの独特の「熱気」や「色」が失われ、どこにでもある普通の繁華街へと変貌しつつあるというのです。
秋葉原の街を歩けば、まず目に飛び込んでくるのは溢れんばかりの外国人観光客の姿。かつてのアキバは、電子部品を買い求めるマニアックな層が集う「電気街」でした。
抵抗器やコンデンサーといった、一般人には縁のないパーツが所狭しと並び、そこに「オタク」と呼ばれる人々が吸い寄せられていたのです。しかし、今や電子部品は通販で手軽に手に入る時代。街から「マニアの必要性」が薄れるとともに、観光地化が一気に加速しました。
さらに、街の風景を象徴していた「萌え」の要素もその質が激変しています。かつての秋葉原といえば、AKB48劇場を中心にアイドルの生写真を交換するファンが広場を埋め尽くし、清楚な衣装のメイドさんが「お帰りなさいませ」と優しく声をかける、多幸感に満ちた場所でした。
しかし、現在の駅前を見てみると、そこにあるのはアイドル要素でもオタク要素でもない、無機質な多言語の看板。AKB48のメンバー写真が並んでいた柱は中国語の広告に取って代わられ、メイドカフェに代わって主流となったのは「コンカフェ(コンセプトカフェ)」です。