日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、昭和の伝説的な番組が居並んでいた「水曜日」についての考察です。
現在、テレビ界において「水曜夜」の絶対王者といえば、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
エッジの効いた企画でネットを騒がせる同番組ですが、時計の針を数十年巻き戻してみると、そこには今以上に熱く、家族全員が1台のテレビにかじりついた「黄金の水曜日」が存在していました。
テレビが家族団欒の中心だった昭和の時代。水曜の夜はクイズあり、ドラマあり、バラエティありと豪華な編成で、どこの家庭でもチャンネル争いが起きるのは決して珍しいことではありませんでした。
当時の水曜夜7時といえば、1981年にスタートした『Dr.スランプ アラレちゃん』(フジテレビ系)が驚異的な視聴率を記録していましたが、知的な刺激を求める家庭で選ばれていたのが『桂三枝の連続クイズ』(TBS系)。
参加者が一発勝負の「ひらめき派」か、地道に稼ぐ「コツコツ派」か、自分の挑戦コースを選ぶことができるシステムと、三枝の関西弁を交えた毒気と愛のある参加者いじりで視聴者を魅了。家族で食卓を囲みながらワイワイと正解を競い合う光景こそが、昭和の日常そのものでした。
夜8時になると、その熱気はさらに加速します。テレビ東京(当時は東京12チャンネル)から流れてきたのは、メダカの学校の替え歌で始まる『三波伸介の凸凹大学校』。
1977年から1982年まで続いたこの番組は、テレビ東京としては異例の視聴率15%を叩き出すという“奇跡”を見せました。特に人気を博したのが、三波から出される「お題」を絵で表現し、他のメンバーが解答する「エスチャー」のコーナーです。「ずうとるび」の江藤博利が描く“怪生物”にお茶の間は爆笑の渦に包まれたものです。
ドラマの世界でも、大映テレビが制作した『噂の刑事トミーとマツ』(TBS系)が刑事ドラマの常識を塗り替えました。格闘や銃撃戦に怯えるトミーをマツが「お前なんか男じゃない、おとこおんなで十分だ!」「おとこおんなのトミコ!」と罵倒。それに発奮したトミーが悪党をなぎ倒すお決まりの展開はまさに昭和の様式美といえます。
他にも、『銭形平次』終了後にフジテレビがスタートさせたドラマ『青い瞳の聖ライフ』は、主人公がアメリカ人留学生という斬新な設定が、若者をクギ付けにさせました。
さらに、『わくわく動物ランド』(TBS系)で取り上げられたエリマキトカゲやウーパールーパーといった珍しい生物が一躍、お茶の間のスターとなり、関連グッズや玩具がバカ売れに。『クイズ地球まるかじり』(テレビ東京系)は世界の食文化を楽しめる番組として、11年にわたって放送されました。
こうした番組に共通していたのは、制作者たちの「世界にはまだ知らない面白いことがたくさんある」という純粋な熱量であり、それがテレビを通じて全国の家庭に伝播していたのです。