■昭和のテレビ番組が持つ「家族を一つにする引力」
ネット上では当時を懐かしむ声が溢れており、「『トミーとマツ』の放送翌日に学校へ行くと、必ず誰かが耳を動かす練習をしていて、教室中が“男女ごっこ”で盛り上がっていたのが懐かしいです」
『ワクワク動物ランド』でエリマキトカゲを見て以来、放課後はみんなで腕を広げてエリマキ走行の真似をして走った」「あの頃のテレビの影響力は本当にすごかったと感じます」といったコメントも見受けられます。
「昭和の水曜夜の番組群には、現代のマーケティング理論では説明できない作り手と視聴者の一体感がありました。今の『水ダウ』が持つ、緻密な仕掛けを俯瞰して楽しむスタイルとは対極にあり、当時は出演者も視聴者も一緒になって、一つの大きな家族のように手放しで笑い合っていたのです。
それはテレビがまだ『家庭の主役』として君臨していた時代の産物であり、作り手がお茶の間を巻き込もうとする純粋な熱量があったからこそ成立した幸福な光景でした。世代を超えて家族を一つにする強烈な引力は、メディアが多様化した現代こそ再評価されるべき価値でないでしょうか」(メディア文化評論家)
エッジの効いた『水ダウ』の企画に驚かされる今の夜も刺激的ですが、かつてのように家族全員が1台のテレビにかじりついた、あの賑やかな水曜日も、今となっては捨てがたい贅沢な時間だったと言えるのかもしれません。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。