■山場&オチナシのシナリオも異質

 現在の地上波ドラマでは、“普段ドラマを見ない人”を取り込むことを意識しているとも言われている。だからこそ、Snow Manなどの人気グループのメンバー、またアイドル的な人気のある旬の俳優など、固定のファンが多くいて、視聴率や見逃し配信の数字に好影響を与えるタレントが、良くも悪くもキャスティングされがちだとも。しかし、『冬のさ春のね』はそうではないということだ。

「『冬のさ春のね』は、シナリオの構成も異質。一般的にドラマは、連ドラであっても1話の間に起承転結的なものがあって、山場やオチがあるものですよね。引きのある衝撃的なラストで、次回に引っ張る、というのもよくある手法です。

 ところが、『冬のさ春のね』は違う。エンディングは女性ボーカルバンド・Homecomingsの主題歌『knit』と、主人公・文菜(杉咲)のモノローグでかろうじて成立している感じで、物語には山場も、オチらしいオチもない。第2話なんて、文菜と早瀬(岡山)が2人でわちゃわちゃしているのに、尺の都合で途中で放送が終了かのような終わり方をしていました」(前出のテレビ誌編集者)

 つまり、『冬のさ春のね』はあえて、エンターテインメント作として一般受けする道を選ばず、“作家性”を全開にして、好きな人には刺さる芸術性を突き詰めたような作品と言えるのかもしれない。そんな『冬のさ春のね』は、視聴者の反応が絶賛と否定の真っ二つ。

《これは杉咲花が最も得意とする質感の映画をそのまんまドラマに持ってくるというとても挑戦的なドラマか。純文学的な映画は約2時間で、選んだ人が見てるからよくある。深夜でもなく娯楽的で大衆向けのものが多いゴールデンで純文学的なドラマをやるのは楽しみ》
《十数年ぶりに民放のラブドラマ見た 雰囲気と、動きの少ないカメラワーク、小説をそのまんま直に映しているような台詞 映画みたいで......これは結構好きな作品かもしれない 過度な演出もOST(※BGM)もない、言葉と画だけで勝負してる 民放もこういうの放送できるようなったんだね》

《登場人物に関して一切の説明もなく固定カメラで永遠と会話を垂れ流し、演者の感情の起伏も一定で盛り上がりも盛り下がりもなく、何について話してんのかわっかんねぇし何故私はこのドラマを観てるのかもわっかんねぇし誰か助けて何もかもがわっかんねぇのよ》
《うーん、このテンポ感、寝てしまいそう…(てか最後寝てた)杉咲花ちゃん好きなんだけどな〜こういうのってドラマじゃなくて、2時間の映画でいいのよ》
《これは好み分かれる…いや監督の映画めっちゃ好きなんだけどな…ドラマ向きじゃないかもな…》

 などと、視聴者の意見は完全に割れている。

「『冬のさ春のね』を放送している日テレは、ドラマの低迷が続いていると言われています。同ドラマの放送枠である水10枠も、真裏に強力なバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)があり、なかなか数字が取れない枠だと言われていますね。

 逆に言うと、だからこそチャレンジングなことができる枠とも言えそう。テレビ界において引き続き視聴率は重要ですが、特にドラマは配信など他の部分で評価されるところもある。“超異質”と言えるであろう『冬のさ春のね』は、そうした流れのなかで制作されるに至ったのではないでしょうか」(制作会社関係者)

 現状、視聴率は世帯、個人、コア(13歳から49歳までの個人視聴率)とも振るってはいないが、話題性は抜群の『冬のなんかさ、春のなんかね』。同ドラマが今後どう展開していくのか、そして、どんな評価を受けるのか、注目だろう。