■配信を「前提」とするドラマ作りが加速

 前出の制作会社関係者が続ける。

「数年前から地上波ドラマは、長い尺よりも展開が早くサクッと見たいという視聴者のニーズを受けて30分枠が量産され、年間に制作されるドラマの総数は増加しています。さらに地上波ドラマにとって、スマホ時代のライバルは動画配信サービス。そして、PrimeVideoやNetflixなど世界的な動画配信サービスに配信してこそ、広く見てもらえるのが現実ということに、やっと向き合い始めた。

 そうなると、そうしたプラットフォームへの配信が前提の企画を立てることがテレビ局としては大事で、そうした作品ですとドラマの放送時間はあまり関係ないわけです。そもそも深夜枠はリアルタイムで見る人が少ないですし、配信でたくさん見てもらえたらいいという考えです」

 たしかに昨今、地上波ドラマは配信に意欲的だ。2025年の例をとってみても、台湾女優のスリ・リン(25)を主演に起用し、映画規模のスケールでの制作が話題となったNHKドラマ『火星の女王』は12月13日から全3回で放送され、12月21日からはアマプラでの配信をスタート。TBSでは競馬を題材にした10月クールの日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』を、地上波放送翌日にはNetflixで配信していた。

 ただし、今度はそうしたプラットフォーム上で他のテレビ局が作るコンテンツとの戦いになるのは明らか。そんななか、現在、制作陣が気にしているのは「何がウケるか」だが――。

「Netflixの経営陣は、日本発のコンテンツなら“相撲・アングラ・政治”が流行ると周辺に話しているといいますね。実際、大相撲を取り上げた『サンクチュアリ -聖域-』や地面師詐欺集団『地面師たち』は大ヒットしましたからね。あとは侍たちの死闘を描いた『イクサガミ』のような、いかにも日本を感じさせる作品も人気です。

 ドラマに力を入れるTBSでは、MBSなどの系列局も含めて“Netflixでもウケるようなアングラ系の企画を出して”とドラマ担当者には通達が出ているとか。視聴率の戦いからは降りていて、配信でヒットすればOKという考え方にシフトしているとも言えそうですね。

 今回の『マトリと狂犬』は、配信での視聴者獲得が見込めるアングラ系のドラマなので、豪華キャストがキャスティングされたということでしょうね」(前同)

 同様の動きは他局でも見られる。

「1月8日から放送が始まったのは日本テレビ系列の中京テレビが制作し、大人気男性アイドルグループ・timeleszに所属する菊池風磨さん(30)が主演する、ドラマ『こちら予備自衛英雄補?!』(水曜0時24分~)。深夜の放送にもかかわらず、監督・脚本・原作を極楽とんぼ加藤浩次さん(56)が手掛け、共演にはのんさん(32)や森永悠希さん(29)も名を連ねます。

 ドラマの放送直後から番組は日テレが運営する動画配信サイトのHuluでも配信されています。深夜帯なのにこれだけ豪華な配役でドラマを放送するのは、地上波だけでなく動画配信サービスで視聴回数を稼いで収益を上げようとしているからですよ」(同)

 テレビ局のドラマ制作現場で進んでいる“配信シフト”。この流れは、今後も続きそうだ。