物価高が続く中、コンビニ業界に異変が起きている――。

ローソンは昨年9月、ウイスキーの本場・スコットランドの原酒を使用した『ザ・ラディ・ハイボール』を販売。値段は350ml缶で税込600円と、これまでコンビニで売られていた物とは明らかに異なる価格です」(全国紙経済部記者)

 ファミリーマートも昨年1月に発売し、消費者から好評だった高級ステーキハウス『ウルフギャング・ステーキハウス』監修のウイスキーハイボール缶(350ml・税込251円)の再販を1月20日から開始。セブンイレブンも、昨年6月に長野県のビール製造メーカーと共同開発したクラフトビール『有頂天エイリアンズ』(350ml・税込349円)を全国で販売し、発売から70日で合計出荷数量100万本を超える好調を記録している。コンビニの商品棚で起きた高級化路線。この流れはドリンクコーナーだけに限らない。

「フードコーナーを見てみても、ファミマは中華料理の巨匠・陳建一さんの弟子にして南青山にある『4000 Chinese Restaurant』総料理長を務める菰田欣也シェフ監修の中華シリーズを展開しています。セブンも有名ラーメン店『飯田商店』と、その一番弟子である『RamenFeeL』との師弟コラボカップラーメン(税込386円)や、全世界で1700店舗を転記する中国最大規模の直営火鍋ブランド・海底撈の即席鍋セット(税込645円)などを販売。高価格商品を次々と市場投入しています」(前同)

 かつては身近で気軽に行ける小売店という印象だったコンビニだが、今ではすっかり高級路線へと方針転換したということか。

 実際、1月20日に日本フランチャイズチェーン協会が発表したデータによると、国内主要コンビニ7社(セイコーマート、セブンイレブン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、デイリーヤマザキ、ローソン)の2025年の来店客数(全店ベース)は、前年比0.2%減の163億4142万人。

 コロナ禍で客足が減った21年以来4年ぶりとなる前年割れだった一方で、平均客単価は2.5%増となる737.9円、売上高は2.2%増となる過去最高の12兆583億円にのぼっている

 コンビニへの来店客数は減少した一方で、売上は上昇したコンビニ業界。客数と売上の“逆転現象”はなぜ起きているのか、小売・サービス業界に詳しい経営コンサルタントの岩崎剛幸氏に尋ねた。

「2025年3月以降の大手コンビニ3社の来店客数を見るとセブンは7月以降、ファミマは8月以降マイナスに転じています。ローソンは増えているとはいえ、累計客数は前年比で0.5%の増とほぼ横ばい。以前に比べるとコンビニは客数を増やしづらくなっているので、客単価を上げることでトータルの売上を確保するという流れになっているのでしょう」

 平均客単価を上げるために高価格商品がコンビニの棚に並び始めたというわけか。現に25年3月以降のコンビニ大手3社の累計平均客単価はローソンが前年比3.9%の増、ファミリーマートが4.4%の増、セブンイレブンも1.9%の増と軒並み右肩上がりを記録しているのだ。一方で高価格商品の購入は消費者にとっても心理的なハードルが高い。そこで大手コンビニも消費者の手を棚に伸ばすべく、ある仕掛けを商品に施しているという。

「来店する客も高額商品は付加価値のある物でないと買ってくれません。有名ブランドやシェフの監修といった商品だと、高価格だったとしても消費者もその価格を受け入れやすくなるんです」(前同)