1皿あたりの価格が100円台と手頃な回転寿司。多くの家族連れで賑わっている様子が散見される。そんな回転寿司業界を震撼させるニュースが報じられたのは2023年4月6日号の『週刊文春』(文藝春秋)でのことである。
食品業界に詳しいジャーナリストが解説する。
「はま寿司の従業員が自身の働く店舗で、使用期限切れの食品が消費者に提供されていたとして週刊文春の取材に応じました。週刊文春の記事によると複数のはま寿司の店舗で使用期限切れの食材が使用されていたことが発覚。
報道を受け、はま寿司を運営するゼンショーホールディングスはホームページを4月7日に更新。はま寿司郡山堤店で消費者に提供していた食品の中に自社で定める使用期限を超過した食材が混入していたことを認めたのです」
この事態を「消費者への裏切り」と一刀両断するのは回転寿司業界関係者だ。
「回転寿司チェーン店はスシロー、くら寿司、かっぱ寿司、はま寿司が激しい争いを展開する戦国時代。各社、価格やネタの鮮度でしのぎを削っています。そんな中で消費者に提供する食材の使用期限を改ざんしていたこと自体が理解できません」
はま寿司ではなぜ、このような事が起きたのか。
「スシローやくら寿司、かっぱ寿司は回転寿司チェーン店として経営がスタートしています。回転寿司は他の外食チェーン店と違い生ものを扱う。そのため、自社内で定める食材の使用期限にも厳格。一方、はま寿司は“すき家”などを運営するゼンショーホールディングスの子会社。他の回転寿司チェーン店とは成り立ちから違うのです」
回転寿司チェーン店ではセントラルキッチン方式などを採用。店舗で使用した切り身のパックの量をその日のうちに本部へと報告し、不足分が翌日、同一地域の複数店舗の在庫を扱うセントラルキッチンから当該店舗へと補充される仕組みになっている。本部への報告数に過不足が生じれば店舗運営に支障をきたすため、使用期限切れの食材を消費者へと提供することが起こり得ない仕組みになっているのだという。
「はま寿司がどのような仕組みで店舗の食材管理をしているのかは分かりません。ただ、他の回転寿司チェーン店と違い、牛丼店発祥ということで食材管理が甘かったということなのかもしれませんね……」(前同)