■「番組を続けるか終了するかまで検討しなければいけない――それくらい重大なレベルの問題」
これまでの『ナイトスクープ』では、“神回”と評された回も数多くあった。
戦死した父親の手紙の解析から始まった「レイテ島からのハガキ」(2011年)、両親が仲良く会話する姿を見たいという理由からの依頼「10年以上口をきいていない父と母」(2013年)など、NPO法人放送批評懇談会が選ぶ、テレビやラジオの優れた番組・関係者を顕彰する「ギャラクシー賞」に輝いた依頼も少なくない。こうした過去の素晴らしい回の数々も、疑わしく思えてきてしまうということか……。
「『ナイトスクープ』はあくまでもバラエティ番組ですから、視聴者も多少は“演出で盛っているところもあるだろう”と感じていたかもしれませんが、今回は、明らかにその範囲を超えていますからね。ヤラセを疑う人もいるわけで……これまで大好きでずっと見てくれてきたファンを裏切ってしまったのではないでしょうか。
それに、今回は発表されたような演出でリアルをねじ曲げたせいで、依頼者の親がバッシングを受けてしまった。明確な被害者がいるわけですから、こんな姿勢で番組作りをしてもよいのかと非難の声が上がるのは仕方ないことだと思います」
『ナイトスクープ』は芸能人ではなく、一般人が顔と名前を公表して出演する番組。それだけに「放送局であるABCテレビの責任は重い」という。
「番組のせいで誤った印象がついて、それで出演した一般人が風評被害を受ける。これは、絶対にやっていけないことですから、罪が重いです。きちんと責任を取るべきですし、反省して、今後2度とこういうことを起こしてはいけないですよね。
そして、今回のようなやり方が常態化していたのか、今回だけの話だったのか。なぜ、こういうことが起きてしまったのか。番組側の制作体制まで振り返って、きっちりと検証して、その結果を発表したうえで、番組を続けるか終了するかまで検討しなければいけない――それくらい重大なレベルの問題だと思います」
バラエティ番組における演出とヤラセの境目については「難しいところ」としつつ、『ナイトスクープ』の問題点をこう分析する。
「はっきり言えば、バラエティ番組において“演出”はよくある話です。ただ、人を傷つけない、そして面白くするための演出なら、許容範囲は広がると思うんですよね。
ですが、前述のように『ナイトスクープ』は芸能人ではなく一般人が出ているわけですから、そういう人たちに直接被害が及んでしまうリスクがある。だから演出には細心の注意を払って、最小限に留める必要があるわけで……。
少しでもやりすぎると“ヤラセ”となってしまうと思います。テレビマンは、“こういうジャンルの番組はヤラセの境界線が凄く厳しくなる”と強く認識したうえで、番組作りをしなければいけないと思います」
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番組サイドから衝撃的な内実の公表があった『探偵!ナイトスクープ』。関西だけでなく日本中に多くのファンがいる番組なだけに、今後に大きな注目が集まる。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)