■演出をしてもしなくても炎上リスクは消えない――元キー局Pが解説

 もはや一般人参加ありきの番組作りは難しいのではないか――これまで数々のテレビ番組を制作してきた元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、こう解説する。

「1つ重要なことは、結局のところ“一般人”はそのままでは、爆発的に笑いが取れるほど面白いわけではない場合がよくあるということ。そして、これはテレビマンのクセなんですが、“こっちで面白く演出しないと、そんなに面白くないんじゃないか”と不安を抱きがちなことがあるんです。それで、登場してくれる一般の方の面白い面などを、極端に強調した演出をしがちなんです。そうしたことによって荒れるわけで、今回の『ナイトスクープ』がその典型例ですね」(鎮目氏、以下同)

 その一方、そうした演出をしなかったとしても、炎上のリスクは消えないという。

「『イロモネア』がそうですよね。“一般普通の人が、芸人のネタを面白くないと感じて笑わらなかった”。ただそれだけのことなのに、炎上しましたよね。つまり、一般人を出した時点で、どうあっても炎上のリスクが発生するわけで、もはやテレビマンとしては炎上しない手段がわからない状況にあるんです」

 SNSの普及により“炎上”は進んだと言えるのだろうが、鎮目氏は「録画で見る文化や見逃し配信も影響しています」と指摘し、こう続ける。

「かつては、放送された瞬間だけちょっと話題になる程度でしたが、現代では放送をいつでも見直せますよね。そうすると、SNS経由で“炎上”を知り、それでTVerなどで問題となった放送を見て、また火がつくと。

 ですので、最近では一般人参加番組だけでなく、芸能人だけの番組でもリスクが増えている感じも。この前も『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の企画“10メートル高跳びリベンジ”が荒れましたよね」

『水ダウ』では、1月21日と28日の2週連続(21日は生放送)で、高いところが苦手なお笑いコンビ・きしたかの高野正成(36)を、10メートルの飛び込み台からプールに飛び込ませる企画を行なった。同放送には《ラインを超えてる》《逃げ場をなくしてのいじめ》などと批判の声が寄せられた。

「ただ、高野さんたちはプロの芸人ですから、ある程度荒れても、それ以上の事態は回避できる場合が多いですよね。ところが一般人だと、炎上したらどう対処すればよいのかわからないし、頼れる所属事務所などもない。そして、どんどん炎上は拡大し、晒されてしまい、害を被ってしまう……。悲しい構図ですよね。

 そんな時代ですから、今、もし僕が番組作りするとしたら、何か良い方法を思いつくまで、一般人を顔と名前を出してテレビに出演させることは、怖くてできないですね」

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《昔親がテレビの前でボソッと、なんだよこいつとか言っていたが、 今はSNSになんだこいつ、と書き始めるのでそういう誹謗中傷や晒し上げが増えたように思う》
《「たかがテレビ」(褒めてます)という、かつてのテレビの立ち位置を思い出すコト。もっといい加減に、もっと気楽に、もっと自由に、たかがテレビと流せるコトの大切さ》

 といった冷静な声もあるが――今後、一般人参加のテレビ番組は減少していくのかもしれない。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)