阪神タイガースのレジェンド、“ナニワの春団治”こと川藤幸三が猛虎愛を語り尽くす熱血コラム。OB目線の激励から時には喝も……熱き魂が炸裂する!

 ワシは今のタイガースの選手が羨ましい。

 なぜかって?

 年俸が高いとか、食事や遠征先の宿泊施設といった待遇面で恵まれとるとか、そんなことやない。大山、近本、佐藤、森下、中野、村上、才木、岩崎らほとんどの選手がリーグ優勝を2度も経験しとることや。

 しかも、今後、何度も優勝を経験するやろう。その可能性はかなり高い。

 ところが、ワシなんか現役で19年間プレーして、優勝を経験したのはたった1回やからな。一方、ライバル巨人は1965年から1973年まで優勝してV9を達成したわけやけど、その間、タイガースは2位が5度、3位が3度やった。もう何度悔しい思いをしたことか。情けないやら、腹立たしいやら。ライバル巨人への対抗心はますます大きく膨らんだ。

 それだけに1985年10月16日に優勝を決めたときの嬉しさは格別やった。あんな喜びはそれまで経験したことがなかった。ホンマに野球をやってて良かったと思ったで。

 よっさん(吉田義男監督)の小さな体が何度も宙に舞い上がった。チームリーダーのカケ(掛布雅之)の体も舞い上がった。ワシは彼らの下で、一生懸命、手を突き上げとった。

 そしたら、輪の中から声がするやないか。

「次はカワさんや。よっしゃ、行くで~」

 こうしてワシも生まれて初めての胴上げを経験することになったわけや。なんや、宇宙遊泳でもしとるような心地よさやったな。