相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
大相撲初場所は、新大関・安青錦の連覇という結果に終わった。
中日(なかび)には久しぶりに、天皇ご一家が観戦にいらしたんだが、2横綱2大関が全員黒星。こういうことも珍しいのだが、これは力士たちの力が拮抗していることを意味する。
だから、優勝争いも混沌として、千秋楽は3敗の安青錦、平幕・熱海富士を、4敗の横綱・大の里、元大関・霧島、阿炎、欧勝海が追う形になった。
でも、熱海富士が本割で勝って、3敗を守ったから、その時点で4敗力士の優勝はなくなり、安青錦が大関・琴櫻戦に負ければ熱海富士の優勝、勝てば優勝決定戦になるという状況になった。
優勝決定戦の盛り上がりはすごかったね! 安青錦と熱海富士への声援はほぼ互角。以前から「大器」と言われていて、ぽっちゃり日本人ぽいルックスの熱海富士と、ストイックなウクライナ人・安青錦は好対照。国技館のボルテージは最高潮だった。
相撲の内容は、熱海富士のほうがよかった。187センチ、192キロの体を思い切りぶつけて、優勢だったのだが、安青錦の捨て身の首投げに土俵下に落ちて敗戦。
23歳の熱海富士はこれまでも優勝戦線に絡んだことがあったけれど、もう一歩のところで敗れているのは、下半身の弱さだ。安青錦を攻めているときも、もう少し腰を下ろしていけば、首投げを食らうこともなかったはず。
所属の伊勢ヶ濱部屋は、元白鵬の旧宮城野部屋勢が加わって、今、関取は6人。来場所には新十両も誕生する。それなりに稽古が厳しいはずなのだが、今、下半身の強化をしなけなければ、今後も同じことを繰り返してしまう。
新師匠・元照ノ富士の伊勢ヶ濱親方は、きちんと指導しているのだろうか? まあ、熱海富士本人の「自覚」が一番なんだけどね(笑)。