連日厳しい寒さが続く日本列島。人々の肝を冷やすような事故が起きたのは1月29日のことである。
全国紙社会部記者が話す。
「愛知県尾張旭市の学習塾『鳴滝塾どんぐり俱楽部』から火が出ていると119番通報がありました。通報後に10台以上の消防車両が事故現場に駆け付け、消火活動にあたりましたが木造建ての塾兼住宅は全焼しました。火災発生当時、塾には経営者の男性と小学生~高校生までの生徒7人の計8名がいましたが、けが人はありませんでした」
火災の第一報を消防へと知らせたのは学習塾に通う女子生徒だったという。通報時に生徒は「パソコンが爆発した」と話していたという。
「目撃者の証言によれば、塾の中にはファンヒーターが置かれており、その近くにあった紙へと火が燃え移ったそうです。その後、目撃者は“パソコンが爆発した”と話しているそうです。塾で使用されていたパソコンがどのような種類の物かは明らかになっていませんが、多くのパソコンでリチウムイオン電池が使用されているケースが多いので、こちらが影響したのかもしれません」(前同)
リチウムイオン電池という聞きなれないこの言葉。昨今では外出時にスマートフォンの充電をするのに使う小型のバッテリーなどでも使用されている、繰り返し充電をすることができる電池のことだ。他の電池に比べて小型で軽量なうえに、大容量の充電が可能という特徴がある。
一方で、持ち運びの際や使用中に爆発や発火などの事故も後を絶たない。
「消費者庁によれば2020年度から24年度までの4年間で、リチウムイオン電池が使用されている製品で、発熱や発火などの事故があったのはおよそ2350件。ワイヤレスイヤホンを充電したまま外出したら充電器が爆発していたとみられるケースや、スマートウォッチを着けて寝ていたら、突然発火して腕にやけどを負ったケースなどが報告されていると言います」(同)
スマートウォッチやモバイル充電器を家庭ごみに出したところゴミ収集車内で圧力や強い衝撃を受けたリチウムイオン電池が爆発、収集車が炎上したというようなケースもあるという。スマートフォンやウェアラブル端末が普及した現代社会において、それらの電子機器の動力源であるリチウムイオン電池の処分方法は“社会問題”とも言えるだろう。
通常時の使用や保管でも時として、発火してしまうリチウムイオン電池。そんな代物を熱源の近くに晒せば、すぐさま発火しそうなものである。その関連性や、冬場にリチウムイオン電池を使用する場合の注意点をリチウムイオン電池の試作・開発などを行う株式会社小澤エネルギー研究所の小澤浩典研究員に解説してもらった。
「一般的に、モバイル機器に広く採用されているリチウムイオン電池には、内部に『電解液』が使われています。この電解液には分解が始まる温度があり、概ね80度を超えるとガスが発生し、電池の膨張を招きます。
こうした状態で内部の正極と負極が短絡(ショート)すると、激しい発熱が起こり、電池の破損や発火に至るというのが、リチウムイオン電池の一般的な特性です」