日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。2月8日のGIII東京新聞杯ではマジックサンズ、14日のGIIIクイーンCではマルガに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
(以下の内容は2026年2月2日に寄稿されたものです)
ドイツを代表する名手、アンドレアシュ・シュタルケ騎手が、鞭を置きターフを離れることになりました。
ドイツ競馬史上最多となる2853勝。リーディングジョッキーに10度輝き、ドイツダービーは8度戴冠。2011年には、名牝デインドリームとのコンビで、僕も喉から手が出るほど欲しいと願っている凱旋門賞ジョッキーの称号を手にしている世界の名手です。
1974年生まれの彼は現在、52歳。僕が3月の誕生日を迎えると、5つ年下です。
アスリートの引退は、自らが決めるもの。余力を残して次の人生に進むのか、それとも、刀折れ矢尽き、灰になるまでやりぬくのか。最後に決めるのは自分自身で、周囲があれこれ言うべきことではありません。
それは十二分に分かっていますが、同じ時代を共に戦ってきた僕としては、やはり寂しいものがあります。
シュタルケ騎手とは、たびたび世界の競馬場で顔を合わせましたし、日本へも1997年を皮切りに、短期免許で15度来日して通算104勝。
騎乗馬の関係で、僕は京都競馬場のジョッキールームでの観戦となりましたが、カムニャックとのコンビで、オークスを制した競馬は、拳に力がこもるような熱いレースでした。
彼の希望はかないませんでしたが、“もう一度、日本で騎乗したい”と思ってくれたことには、感謝しかありません。
シュタルケ騎手、本当にお疲れ様でした。
日本では、調教師試験に合格し、2月28日の競馬で、競馬ファンの皆さんに別れを告げる予定だった和田竜二騎手が、1月11日の落馬によって、ラスト騎乗を断念せざる得なくなりました。
お疲れ様でした。ありがとう。これからも頑張れ!
ファンの方の思いはそれぞれでしょうが、彼が調教師としてウィナーズサークルに戻ってくるまで、その言葉は取っておいてください。