■“売国奴”“マスコミ敗北”際立つサムネの煽り文句

 こうした世情を踏まえてか、YouTubeでは“再生回数目的”の政治系動画チャンネルが乱立しているという。SNSマーケティング会社の社員が話す。

「きっかけは昨年の参院選です。ネット上で勢いのあった参政党の関連動画がYouTube上で再生数を稼ぎまくった。すると、ここに目を付けた動画投稿者が多発。YouTubeでは参政党の政策へのSNS上のコメントをまとめた動画の投稿が相次いだのです」

 このトレンドは2月8日に投開票を迎える衆院選でも変わらない。前出のPR代理店関係者が話す。

「2月3日に朝日新聞が報じた高市内閣の支持率は57%。1月26日に読売新聞が報じた内閣支持率も69%と高水準です。この流れに便乗したい動画投稿者がYouTube上では多数見受けられます」

 昨年10月頃にYouTube上で政治関連の動画チャンネルを立ち上げた男性が、本サイトの取材に応える。

「動画作成は生成AIを使って行います。生成AIにSNS上での反応を読み込ませ、ニュース風の台本を作るように指示。その後、自分で原稿に修正を加え、AI音声に読み上げさせるのです」

 視聴者の関心を集めるべく、サムネイルの作成には細心の注意をはらうという。

「“炎上覚悟”や“マスコミ敗北”、“売国奴”といった強い言葉を並べます。正直に言えば、動画の真偽は二の次。再生数が稼げればよいのです。支持率が高く人気のある高市総理を高く評価する動画ほど再生数は高くなる。十万回以上の動画再生回数になることも珍しくありません」(前同)

 事実、この男性と同時期に動画チャンネルを開設した別の政治系YouTuberが掲載している高市政権の政策を低く評価する動画の再生回数は数千回である。男性は既に100本近くの動画を掲載し、総再生回数は200万回近くに上っている。現在、月に10万~20万円ほどの臨時収入が発生している状況だという。

 実際に男性が作ったという動画を見てみると、公開されているのは10分前後の動画が中心となっている。音声AIに原稿を読み上げさせているからなのか物価高を“ぶっかこう”と読み上げたりと漢字の読み間違いも目立つ。また、動画の再生時間の8割ほどは、一般人のSNS上への投稿内容だけで構成されている。そのためSNSへと投稿された内容が誤情報であれば、それを取り上げた動画も必然的に誤情報となる仕組みだ。これでは動画の信ぴょう性に疑問を抱かざる得えない形である。

 なぜ、こうしたチャンネルが増えるのかというと、当然「稼ぐため」だ。

「コンスタントに数十万もの再生回数を稼ぐ投稿者のなかには、月収数十万円から100万円近くを稼ぐ人もいると聞きます」(同)

 再生回数が多いからといって、それが正しい情報とは限らない――。自分の目で見て情報の取捨選択をすることが社会で生活する上では何よりも大切だろう。