相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。

 昨年初場所中に現役を引退した横綱・照ノ富士の『照ノ富士引退伊勢ヶ濱襲名披露大相撲』が先日、両国国技館で行われた。

 当日は、母国および横綱の先輩でもある白鵬が、ド派手なモンゴルの民族衣装で現れて、髷に鋏を入れた。その他にも花田虎上さんや、ラグビーの稲垣啓太さん、水泳の北島康介さんら、スポーツ界を代表する大物が続々登場して、照ノ富士の門出に花を添えた。

 最後は、照ノ富士の師匠・宮城野親方(元横綱・旭富士)が止め鋏を入れて、髷とお別れ。名実ともに、伊勢ヶ濱親方としての人生が始まった。

 思えば、伊勢ヶ濱部屋と白鵬は、いろいろな因縁があった。

 弟子の北青鵬(当時・幕内)の不祥事で、部屋の閉鎖を命じられた白鵬(当時・宮城野親方)は、弟子らとともに伊勢ヶ濱部屋へ移籍。宮城野部屋の再興を信じていたのだが、いつまで待っても「再興」の話は出てこない。白鵬の弟子たちは伊勢ヶ濱部屋の地下の部屋で生活することになり、食事も満足にとれなかったと聞く。

 そして、移籍から1年余りがたった昨年夏場所後、白鵬は相撲協会を退職。弟子たちは正式に伊勢ヶ濱親方の下で力士生活を送ることになった。

 白鵬は以前から構想を持っていた、アマチュア相撲の世界で活動していくことになり、バックにはトヨタ自動車の豊田章男会長を付けた。

 白鵬の弟子の力士たちは、「炎鵬」「伯桜鵬」「天照鵬」など、「鵬」の文字が入っている力士が多い。そして、それぞれに思い入れがある。