■SNSがないと友達とつながれない
高橋氏は「メリットにも目を向けるべき」と神妙に語る。
「今の時代は“SNSが友達とつながる唯一の手段”という子どもも少なからずいます。そんな子からSNSを取り上げたら、非常に孤独になるのは明らか。いじめを受けている子が、学校や学習塾など生活範囲の外で他者とつながることで、SNSがセーフティネットになっているケースだってあります。また、SNSでの調べものは現代人にとって必須になりつつありますし、もちろん学習にも使えます」(高橋氏=以下同)
加えて「若いうちからSNSに触れていたほうがネットリテラシー向上につながる」といった市井の声もある。
そして、規制に向けては法整備の問題が横たわっているのも事実だ。
「憲法で表現の自由が保障されているのはご存知の通り。国家が民間の通信サービスを“使うな”と強制することは、検閲に近い行為とみなされる恐れがある。慎重に議論すべきテーマなんです」
現在、教育現場ではGIGAスクール構想を推し進めており、全国の児童や生徒に1人1台体制でPCやタブレットなどの端末を持たせようとしている。
「AIを使え」「ICTも導入しろ」と言っておきながら、「でもSNSは禁止」は無理がある気もするのだが……。
「そこが最大の矛盾点。もちろんSNSのリテラシー教育に関しては学校でももっと実施すべきですが、最後は結局、親が管理するしかありません。“誰とつながっているの? やめたほうがいいんじゃないの?”と止めるのは親しかできないので。
SNSというデジタルなものであっても、最後はきちんと目を見ながら子どもを説得するというアナログなアプローチが有効ということです」
最後に高橋氏は日本のSNS規制について「まずは先行している国の結果を見たほうがいい」と提言する。
「まだオーストラリアだって始めたばかりなので、明確な効果は出ていません。それどころか逆に“子どもが隠れて親のアカウントを使っている”“他の新興プラットフォームに場所を変えただけ”といった不満の声が挙がる始末で。それに、隠れて使っていた場合は、トラブルが起こったときも親に相談できず被害が拡大してしまう恐れもあります」
子どものSNS使用の是非は、規制よりも先にリテラシー教育と周囲の理解が必要なのかもしれない。
高橋暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト。成蹊大学客員教授。SNSや情報リテラシー教育が専門で、スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情に明るい。『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α新書)、『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)など著作は20冊以上。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代+』などテレビ出演も多数。