日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。2月21日のGIII阪急杯ではレイベリング、3月1日のGIIチューリップ賞ではアランカールに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。

(以下の内容は2026年2月16日に寄稿されたものです)

 2月6日にスタートしたミラノ・コルティナオリンピックも、あっという間に折り返しが過ぎ、2月22日で17日間の全日程が終了します。

 追い続けてきた夢をかなえ、歓喜の雄叫びを上げる選手。努力が報われず、悔し涙を流す選手……同じだけの努力を積み重ねてきても結果は同じではありません。ほんのわずかな運や、最後の最後まで自分を信じることができるかどうかが、勝敗を大きく左右するのが勝負の世界です。

 あと、ほんのわずか。ゼロコンマ1秒。数点、数センチ……。それを埋めるために、選手たちは日々もがき、苦しみ、前を向いて努力を重ねています。

 そして、それは競馬の世界も同じです。

 1月30日、2月1日の競馬で9勝を挙げ、いきなりリーディングトップに立ったデビュー8年目の岩田望来騎手は、一昨年にフランス、昨年はイギリスに遠征。技術と心を磨いてきました。

 僕がデビューした当時、“タケクニ(武邦彦)さんの息子”と呼ばれていたように、望来騎手も、“岩田康誠の息子”と呼ばれていましたが、父である康誠騎手が、“望来騎手のお父さん”と呼ばれる日も近いような気がします(笑)。

 若手ジョッキーから大きな刺激をもらった2月7日の競馬は、5鞍に騎乗して、1着1回、2着1回、3着1回。爆発とまではいきませんでしたが、6R3歳1勝クラスを勝ったスマートジュリアスは、クラスが上がっても、十分に戦っていける力を見せてくれました。

 この勝利で、気持ち良く東京に移動し、マジツクサンズでGIII東京新聞杯に挑むはず……だったのですが、東京競馬は降雪のため、2月7日は8R以降取りやめ。翌日も開催中止になってしまいました。

 7日に関しては、「できるんじゃないの?」というファンの方の声もあったそうですが、「ゴーグルに雪が付着して視界が利かない」「蹄の下に氷が付着して滑りやすい」というジョッキーの進言を聞き入れてくださった、いい判断だったと思います。