■アミノ式がテレビで流れていた当時は「15秒のCM1本に、億単位のカネが動いた」

「アミノ式」のCMは、制服の女子高生がくるくると空転する「回転少女」のほか、スーツ姿の会社員が腕だけで逆さまに登り棒をのぼる「上昇サラリーマン」、高校生たちが人間ピラミッドを作り、そのまま長縄跳びをする「ピラミッド高校生」など、そのシリーズは手を変え品を変え、展開された。

「女子高生、会社員、高校生などの姿をしていても、只者ではない驚異の身体能力の正体は、中国雑技団のメンバーです。00年代初頭は、世間的には氷河期ですが、テレビはまだまだ元気で広告業界にもお金があったころ。09年のリーマン・ショック前で、業界はギリギリ“イケイケ”の末期だったともいえます。

 広告界隈にもじゃぶじゃぶお金があって、クリエイティブが輝いていた時代です。15秒のスポットCMで、1本5千万円から1億円のお金が動くことも珍しくなかったですね。サントリーをはじめ、CM制作にあたっては“世界観”が大事にされました。ブッキングにも潤沢なお金がかけられた。カルチャーとしての広告文化が、まだありました」(前出の広告代理店関係者)

 当時、インターネットはあれど携帯電話はガラケーで、スマートフォンやSNSはまだ登場していない。商品やサービス、企業の認知度を高めるにはテレビへの露出が有効だったが、テレビ離れとともに地上波CMにかける製作費は縮小し、手間ひまをかけたCMも激減してきた。

「スマホ時代になり、広告がデジタル向けに作られるようになると、世界観よりも“とにかく必要な情報を短時間に詰め込む”ノウハウが重視されるようになってきました。“今すぐダウンロード”“今すぐWEB検索”など、とにかく一秒でも早く、確実に、消費者の導線をキャンペーンや商品ページに誘導したい。正直、世界観がいいからといって商品が売れるとは限らないという現実もあります。

 一方で、AIなどデジタル技術の発達で、逆に今ならどんな高い身体能力の動画を見せられても”デジタル技術で処理した映像なら、あり得る”と思ってしまいますよね。いろんな意味で、アミノ式のような制作体制はもうとれないのかなあ、と思います」(前同)

 20年以上の時をこえて、注目されることとなったCM。《懐かしいな》という声もあれば、一周回って新鮮に思う人も多かったようだ。