■史実の車夫はクビを言い渡される

『ばけばけ』の制作統括・橋爪國臣氏は大西を車夫・永見役にキャスティングした理由を、“不器用な剣造”をリアルに演じることができるからだとコメントしている。橋爪氏は10年前に大西と仕事したこともあるといい、《瞬発力で演じ分けるタイプではないですが、一つの役を突き詰めて演じることができる》《器用にこなすというより、その役をちゃんと生きるというのがいいところ》だと絶賛している。

 そんな大西が演じる車夫・永見は、事実上のドラマオリジナルキャラクター。史実上でも八雲には専属の車夫がいたが、記録がほとんど残っていないようだが――、

「『ばけばけ』と同様、八雲は熊本に移住する際に、身の回りの世話をする人々も一緒に移動したといいます。そして、車夫に関する数少ない資料として、八雲が友人の西田千太郎(※『ばけばけ』における錦織/吉沢亮・32)に宛てた手紙の中で、この車夫が松江からの道中を立派に務め上げたことを報告しています。ただ、その後の話がどうにも不穏なんです……」(前出の女性誌編集者)

『ばけばけ』の永見と同様、車夫は真面目に働いていたというが、熊本に移住後、実は松江に妻を残したままであることを八雲が知る。

 八雲は車夫を「一度松江に戻って妻と向き合うべきだ」と諭し、彼がちゃんと帰れるように新しい服を買い与え、往復の旅費や滞在費として大金も渡したが――なんと車夫は松江に帰らずに豪遊し、カネを使い果たしてしまったという。

 車夫の“裏切り”を知った八雲は激怒し、彼をクビに。八雲は明治24(1891年)年12月28日に書いた友人・西田宛の手紙に《わたしは、もう助けることはできませんでした――と言うのは、そのずるさにおろかさが重なって、もう一日たりともわが家に置くことはできなかったのです》と、当時の心中を語っている。

「『ばけばけ』は史実に基づいた、あくまでもフィクション。すでに物語の舞台も明治25年(1892年)2月を迎えていて、史実で車夫がクビになった時期を過ぎています。ですので、史実通りの展開にならなければいいですよね……」(前同)

 車夫・永見の今後には視聴者からも、

《車夫まで、不器用に道に迷ったり、史実通りにやらかしたら…》
《でも、史実では車夫は…》
《史実だとやらかしてるのよね。。大丈夫かな?》

 といった不安の声が出ている『ばけばけ』。すでに、セツの弟(三之丞/板垣李光人・24)は最後までロクに働かず悲惨な末路を迎えた、という史実を、紆余曲折あったがちゃんと働き始めた、という救いのある展開にアレンジしているだけに、車夫も最後まで、不器用で誠実でいてほしいものだが――。