■おもしろさにこだわる『豊臣兄弟!』

 藤吉郎(池松)と藤吉郎を信じていると言い切った小一郎(仲野)、信長の謀反を企てて殺害された信勝(中沢)。豊臣兄弟の“信頼”と織田兄弟の“裏切り”を、合せ鏡のように描いたのは見事だった。また、大沢次郎左衛門(松尾)は実在の人物だが、その生涯には諸説あるようで、実在していたがよく分かっていない人物を、うまい具合に創作して話を盛り上げていた。

 改変については、制作統括・松川氏も『婦人公論.jp』のインタビューで《よく知られているけれども、創作されたお話をアレンジしています。たとえば草履を秀吉(藤吉郎/池松壮亮)は「温めようとしていた」のではなく「盗もうとしていた」に変えました》と発言。本作がわかりやすくおもしろい大河になっているのは、この“楽しめる作品にするため、大胆に手を入れる”姿勢があるためだろう。

 本作は、選挙特番で放送が1週休止になったうえ、冬季五輪のメダルラッシュが報道され、世の中はオリンピック一色になるなど、逆風が吹いていることもあり、平均世帯視聴率は11.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)に微減してワーストを更新。だが、ここまで徹底して“おもしろさ”に力を入れた、視聴者ファーストの作品なら、すぐに数字は戻すはずだ。

 次回は、秀吉が織田家内での地位を確立したエピソードとして語り継がれている、おなじみの「墨俣(すのまた)一夜城」が描かれる。誰もが知っているが、史実として不確かなところがあるエピソードに、どう手を入れて、魅力的なものに仕上げるのか? 豊臣兄弟の活躍から目が離せない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。