■ウルフアロンの引き抜きを警戒

 加えて、日本の国際競争力低下による恒常的な円安も追い打ちをかけている。

「アメリカはマクドナルドの時給が3000円で、平均年収が日本の3倍。外国人レスラーも、日本の団体に魅力を感じなくなっているのは事実です」(前出のプロレス・格闘技ライターの堀江氏)

 先に挙げたEVILと高橋ヒロムも、WWEへの移籍が噂されている。

「道場で鍛えられ、基礎がしっかりしている日本人レスラーは、WWE幹部の評価も高く、出世することも多い。ただ、WWEはメジャーリーグばりに層が厚く、“1軍”で試合に出続けるのは至難の業。実績がある選手であっても、人気が出なければ、即クビという、厳しい生存競争にさらされます」(プロレス記者)

 今年から社長業に専念する棚橋は、難しい舵取りを迫られることになりそうだ。

「今、新日本にとって最大のミッションは若手選手の育成です。親会社のブシロードは声優やアイドルを使ったビジネスに強いことで知られている。そんな企業風土から、ベテランよりも若い選手を重宝する傾向にあるんです。団体を去った主力選手は、年俸面で“肩叩き”に遭った可能性は否定できません」(前同)

 圧倒的な会場人気を誇った内藤も、近年は年齢から来るパフォーマンスの低下に、団体首脳陣は厳しい目を向けていたとも言われる。

「今の希望は柔道から転身したウルフアロン(29)の躍進劇。ただ、もし彼がアメリカに引き抜かれたときは……団体崩壊の危機もありえます」(堀江氏)

 リングの内外でホットな話題が続きそうだ。

堀江ガンツ(ほりえ・がんつ)
1973年、栃木県生まれ。『紙のプロレスRADICAL』編集部を経て、2010年よりフリーに。現在は『KAMINOGE』をはじめ、さまざまな媒体に執筆。ABEMAの『WWE』中継などテレビ解説も務める。近著は『闘魂と王道 -昭和プロレスの16年戦争-』(ワニブックス)。