■成功のカギを握る人物は日本が誇る巨大企業のトップ
国技を世界へ。その理念は素晴らしいが、白鵬が力を注ぐ裏には、相撲協会への敵対心もあるようで。
興味深いのが1月21日、朝日新聞のインタビューで、白鵬が告白した内容だ。
《(貴乃花ら)結果を出した横綱たちが協会に残っていないというのは、何なのかなという感じ》
こう組織の問題点を指摘したうえで、世界相撲グランドスラムについて《各国の代表をスカウトして集めていきたい》《大相撲より多く賞金が出るかなと思います》と展望を語っている。
「テニスのグランドスラムの優勝賞金は最高額で4〜7億円ほど。対して大相撲は、幕内最高優勝で賞金1000万円です。白鵬主催の相撲大会が世界レベルの賞金を出すとなれば、世界中の有望力士が集まるのみならず、現役の横綱・大関クラスが相撲協会を辞めて、大会に参戦する可能性もあります」(前出のスポーツ紙相撲担当記者)
そうなれば、相撲協会理事長よりも立場は上に。
「また、白鵬の元に集ったアマ力士を相撲部屋がスカウトするという構図になれば、親方衆らは頭を下げざるをえません」(前同)
さらに、その野望を支える極太のタニマチもいる。筆頭は、白鵬杯に会場『トヨタアリーナ東京』を提供したトヨタ自動車だ。
「トヨタの豊田章男会長は、昨年6月にアマ相撲を統括する日本相撲連盟の新会長に就任。“白鵬支援”を明言しています」(同)
その他の白鵬杯協賛企業も、ビッグネームばかりだ。
「三井住友銀行や三井不動産といった三井グループ、ソフトバンクなど日本を代表する企業が会場には名を連ねていました」(前出のノンフィクションライターの武田氏)
ゼニの力で角界主役の座を強奪するのか。白鵬の逆襲は始まったばかりだ。
武田葉月(たけだ・はづき)
ノンフィクションライター。山形県山形市出身。清泉女子大学文学部出身。出版社勤務を経て、現職へ。大相撲、アマチュア相撲、世界相撲など、おもに相撲の世界を中心に取材、執筆中。著書に、『寺尾常史』『大相撲 想い出の名力士たち』『インタビュー ザ・大関 運と人を味方につける』(すべて双葉社)、『横綱』『ドルジ 横綱・朝青龍の素顔』(ともに講談社)などがある。