■誰も医療ドラマは期待していない?
潮五郎(吉田)のおじさん学ラン&グラサン姿、看護師であると颯良(宮世)が息子のフリをするなど、孝典(杉本)の記憶を取り戻すためとはいえ、根拠なしの荒療治。さらに、外出先で倒れた孝典が病院に搬送されると、早速、腫瘍除去の難しい手術が緊急で行われて成功するというご都合主義。リアリティが重視される医療ドラマとは思えない、むちゃくちゃな展開ではある。
確かにツッコミ出したらキリがない本作。ただ、ベテランの杉本と吉田のコント劇場に、旬の宮世の繊細な演技をじっくり見せ、回を追うごとにキャラが立ってきた脳外科チームの絡みもたっぷりで、エンタメ的にいえば合格な内容。要は誰も医療ドラマを期待していないからこそ、視聴率の数字が上向いたのだろう。
むしろここまでエンタメに振ると、脳神経外科部長・中田(向井理/44)が絡んでくる“病院の闇”要素が、インパクト的に弱く感じる。今回、事務局長・鷹山(大谷亮平/45)のところに中田の娘がいることが明かされ、ちょっとだけ物語が動いた。ただ、ここまで毎度、ラストで中田と鷹山の不穏を見せ続け、何も起こらないまま引っ張ってきたのもあり、なんとなく今さら感があるのは否定できない。
物語は後半戦に入り、シリアスな展開になりそうだが、いっそドタバタ病院劇で乗り切ったほうが面白いかもしれない。医療ドラマとしてのリアリティ面については、《今週の患者への関わり方はプライベートに踏み込みすぎて、流石にやりすぎ》などと、ツッコミの声は多いが、本作はそれを抜きにして楽しんだほうがいいのだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。