■『ばけばけ』ファンは簡単には動じない
基本、なにも起きないのが『ばけばけ』なので、この展開は通常運転に戻ったといえる。最近はトキ(高石)のラシャメン騒動、サワ(円井わん)がトキに感じた格差問題、錦織(吉沢)の経歴詐称、熊本への引っ越しと、大きいトピックが続いたあとなので、退屈に感じてしまう視聴者もいるようだ。
実際に視聴率は下がり気味で、第20週の世帯平均(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は15%台の前半で伸び悩み、何度か14%台に落ちることも。とはいえ、朝の情報番組が冬季五輪のダイジェストを流しまくる中、この数字はかなりの健闘だろう。
この凪のような物語のあとには、視聴者の感情を揺さぶるような大きな波が来る。それまでは、“トキたちのなにも起きない日常を楽しむ”という『ばけばけ』の見方を、視聴者はこの5か月でちゃんと学んでいるので、今後も、ここから数字が大きく落ちることはないはずだ。
最初から、この時期に冬季五輪があることはわかっていたこと。それでも、なにも起きないドラマを淡々と流すというのは、ある意味で贅沢な構成だ。なにがあろうとこの世は淡々と続いていく。『ばけばけ』はそんなことを視聴者に教えてくれるドラマなのだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。