湯けむりの向こうで、今、異変が広がっている――。

「一世を風靡したサウナブームはだいぶ落ち着きましたが、今、その余波が銭湯に届き、大変なことになっています」

 と語るのは、「四百数十軒ある東京都内の銭湯はすべて入った」という、銭湯マニアのコラムニスト・中井仲蔵氏だ。続けて、

「サウナからの客が大量に銭湯に流入するようになったこと自体は悪くないのですが、スーパー銭湯やサウナのような娯楽施設と違い、銭湯はあくまでも生活の場。新規の客のうち、一部のマナーが悪すぎて問題になっているんです」(中井氏)

 実際にSNS上では、銭湯のマナーについての論争が頻発している。

 ちなみに統計局のデータによると、日本の自家風呂の普及率は95.5%。これは2008年のデータなので、現在はもっと上がっていることだろう。

「物心ついた頃には家に風呂があったおかげで、銭湯など公共浴場のマナーを知らない人は多いですね。というと若い人のことかと思われがちですが、30〜50代の中高年のほうが非常識な振る舞いをする人が目立ちます」(前同)

 公衆浴場業環境衛生同業組合連合会が公表した「銭湯マナー全国調査2024」では、利用者の9割以上が「かけ湯をしない」「タオルを湯船に浸す」といった違反行為を見かけたと回答している。

「湯船の清潔さを保つためにも、浸かる前に体の汚れを落とすための“かけ湯”や、使ったタオルを浸さないのは大切なマナーです。それどころか、私自身が目撃したところでは、プールと勘違いしているのか、湯船に頭から潜る人はしょっちゅう見かけます。また、ひどい人になると、洗い場の床にメジャーリーグの選手みたいにツバを吐く人までいました」(同)