ミラノ・コルティナ冬季五輪が閉幕してもうすぐ1週間。金メダルラッシュとなった日本勢が帰国し、活躍とその功績を祝福する興奮がまだまだ冷めやらぬなか、金メダルを獲得したスケートの「りくりゅう」ペアこと三浦璃来選手(24)、木原龍一選手(33)の“関係性”に興味を持つ人が絶えない。
2月25日に都内の日本記者クラブで開かれた記者会見でも、「お2人は兄弟にも友人にも夫婦漫才にも見える、何が正解なんでしょうか」という質問がなされ、木原が「戦友じゃないですけど」と言うと三浦が「家族みたいな」と言い、最終的には木原が「あとはご想像にお任せします」、三浦も「ご想像にお任せします」と、明言はしなかった。
なぜ、世間は2人の関係が気になってしまうのだろうか――。そして、今も関係性が明言されないことで今後どう注目されるのか――。精神科医の前田佳宏医師に解説してもらった。
「人は、関係に名前をつけることで安心しようとします。恋人なのか、家族なのか、友人なのか。どこに置けば理解できるのかを知りたくなるのは、ごく自然なことです。クリニックの外来で、“自分を大きく変えてくれたのはあの人のおかげです”と語られることがあります。恋人でも家族でもないけれど、長く影響を受け続けている存在の話です。
そういう関係は、その人の回復や変化に深く関わっていることも少なくありませんが、既存の言葉にはうまく収まりません。だからこそ、“これは何と呼べばいいのだろう”と意味づけを探したくなるのだと思います。りくりゅうのお二人の関係も、どれか一つのラベルに収まらないからこそ、“どういう関係なのだろう”と気になってしまうのではないでしょうか」(前田医師=以下同)
2人が明言しないことで“さらに気になってしまう”、そんな心理もはたらくのか。
「あると思います。はっきりした答えが示されないと、人はその空白を自分の中で埋めようとします。日々の相談の中でも、意味づけがつかないままの出来事ほど、後に残り続けることがあります。整理できた関係よりも、“結局何だったのか”がわからないものの方が、時間をかけて思い返されやすい。
お二人が“ご想像にお任せします”と語ることで、関係の解釈は見る側に委ねられます。すると、聞いた側はそれぞれ自分なりの経験や理解を重ねながら解釈を探し続ける余地が生まれます。答えがないまま考え続けてしまうこと自体が、関心を長く保つ理由のひとつなのだと思います」