■名前が思い出せない

 この間、スナックで飲んでたら、お客さんが「90年代中盤に開業した、都内の某高級ホテルの中にある会員制スポーツクラブで、当時ハーフタレントとしてバラエティ番組に引っ張りだこだった女性タレントを目撃した」って言うんだよ。

 バブルの残り香、びっくりする値段の会員権を、ポーンと景気よく支払っただろう、売れっ子ハーフタレントの名前を、店内のみんな、思い出せないんだ。

 ホラン千秋じゃ、最近過ぎる。その前のローラマリエでもない。キャロライン洋子では古すぎるとか言いながらさ。誰もが知っている相当な売れっ子だったのに、出てこないの。

 頼みのネット検索も、数年おきに出てくるハーフタレントで上書きされて埋もれちゃうんだね。

 答えは翌日に、ようやく判明。リサ・ステッグマイヤーだったんだよ。

 いたでしょ? 今は何をしてるんだろうなぁ。たかが20数年前のことが忘却の彼方なんだなって。

 まあ、その思い出し作業は面白かったよ。老いを楽しむ、物忘れを楽しむというかさ。

 皆さんも、「あれがない、これがない」「あの人、誰だっけ?」とモノを探す時間や名前を思い出す作業に費やす時間、どんどん増えてるよね。脳内の検索能力の低下なのか、そもそも脳に必要な栄養が届いてない状態になっているのか。グルングルンとWi-fiの電波が届いてないパソコンのように。

 施設にいる、おふくろの面会に行ったら、おふくろの話に出てくる人たち全員、とっくに死んでるんだよ。「今も一緒に暮らしてる」って言い張るけどさ。

 それでいい。人間って、いいなと思ったよ。老Guyとしてのステージは徐々に上がっていくんだなって。

玉ちゃん(たまちゃん)
1967年生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、水道橋博士と浅草キッドを結成。一般社団法人全日本スナック連盟会長。