■ゆきお・成田凌のターンに期待

 ミニシアター系の映画のようなクセの強い作品のため、合わない人はとっくに離脱しているはずだが、それでもここにきて視聴率、配信ともに数字が落ち込んでしまった。確かに今回は、好きな人に好きになってもらえない理由が延々と語られるシンドい回なので、それが原因かもしれない。だが、それだけでもないだろう。

 要は長いのだ。杉咲(土田)の演技は素晴らしいし、演出も実に凝っている。ただ、土田文菜の男遍歴はもういいから、現在の恋人のゆきお(成田)との関係を先に進めてほしいというのが、見ている側の率直な気持ちだろう。これが90分の映画なら話は別だが、本作はあくまでも連続ドラマ。毎週、ヤマ場のないまま、細かな感情の機微を語られては、ついていけない人が出てきても仕方ない。

 盛り返すとしたら、ゆきおが鍵になるはずだ。毎話、ちょっとしか登場しないが、時間軸が変わってもキャラがブレない小太郎(岡山)と並んで、出てくるとホッとする。複雑な感情を抱える文菜に比べ、わかりやすく文菜を好きでいるからだろう。好きになることの正解を求め続けている文菜の救世主になるのは、おそらくゆきおだ。

 X上でも、《ゆきおもっと出して欲しい!文菜のゆきおに対する気持ちがその内明らかになるかな?文菜が何でこんなに多くの男性からモテるのか正直わからん》《ゆきおはこのままこういう感じなのか、ここからターンがくるのかがとても気になってる》などと、ゆきおに期待する声が多い。

 次回、文菜は小林二胡(栁俊太郎/34)の葬儀後、ゆきおに優しくされ、そんな彼を裏切っていると思い悩むようだ。時間軸が現在に戻り、文菜とゆきおとの関係が描かれるようになれば、物語も大きく動き出すかもしれない。実験作といわれる本作だが、どんな結末を迎えるか注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。