4月11日、NHKの新役員人事が発表された。その中でも、一際大きな驚きを局内にもたらしたというのが、新専務理事に抜擢された山名啓雄氏だ。
NHK関係者が話す。
「山名さんは平成元年入局。長年、制作畑を歩んできました。そして、2008年から始まったタモリさん(77)が出演する『ブラタモリ』を立ち上げたことで、局内での評価を一気に高めました。
そして今回、新たに理事から専務理事となったんです。このポジションは局内でナンバー3の地位です。今後は専務理事の地位で、メディア統括を担当するメディア総局長に就任します」
NHKでは昨春、女性初となるメディア総局長に林理恵氏が着任したばかり。1年で林氏から山名氏へと交代する理由は何なのか。
「今年1月に前田晃伸前会長に代わり新会長に就任した稲葉延雄さんの存在が大きいですね。みずほ銀行出身の前田さんはコストカットと視聴率にこだわった。昨年の紅白歌合戦にTWICEやLE SSERAFIM、IVEといったK-POPアイドルグループが5組も出演したのも、若者へ訴求したいという前会長の意向があったからです。
一方、日銀からリコーを経てNHKの会長となった稲葉さんは、就任後に局員へと向けて発した会長メッセージでも“コンテンツ・イズ・キング”と記しており、番組作りに注力することこそが視聴者を惹きつけると考えているのです」(前同)
そこで大抜擢されたのが山名氏というわけだ。先のNHK関係者が語る。
「『ブラタモリ』は優れたテレビ番組に贈られるギャラクシー賞を2016年に受賞しており、局内外でも高く評価されていますよね。
20年以上続いた看板報道番組である『クローズアップ現代』を打ち切り、政権との距離の近さを批判されていた板野裕爾専務理事を退任させるなど、いま局は変革を進めている。そんな中でもう一度、NHKの生命線である番組作りに力を入れる、という上層部のメッセージが人事に表れた形です」